翌日。

アムールはいつものようにスマートウォッチからの微弱な電流により強制的に起こされた。


隣にはまだ寝息を立てているナミとロビンがいる。




アムールはスマートウォッチの指示に従い
枕元に置いてある日記を開いた。




『………。』




そっか……。
…昨日の私も同じようにビックリしてたんだろうな………。





アムールはペラペラと日記を読み進めていく。




『………。』




ちょっとここが痛いのは撃たれたからなんだ。
そんな衝撃的な体験すらも覚えてないんだ………。





こうしてアムールは時間をかけて全てを読み終えるとナミとロビンを起こさないように部屋を出た。





甲板へ出ると少し強い潮風が髪をなびかせた。




ｻ「お。今日も早いね♪」




『あ。サンジ君おはよ♪』




ｻ「おはよ♪アムールちゃんはほんと早起きだな～。」




『えへへ～。朝日を浴びるのが好きなんだ～♪そういうサンジ君だっていつも早起きだよ？』




ｻ「俺は好きでやってるからな。」




『私もそうだけど(笑)』




ｻ「そっか(笑)」




ケラケラと笑うアムールの顔が朝日に照らされる。




ｻ「………。」




『サンジ君？どうしたの？』




ｻ「あ…。いや……。なんつーか…そういうアムールちゃんの顔をずっと見てたいなって…。」




『え～？何それ～。なんか口説かれてるみたい(笑)』




ｻ「そうだよ。」




『あはは！サンジ君はほんと女の子にそういうこと言うのうまいよね～(笑)』




ｻ「アムールちゃんは別だ。」




『別？』




ｻ「特別なんだ。」




『それって…どういう意味…？』




ｻ「アムールちゃんが好きって意味。」




『朝からそんな冗談やめてよ～…(笑)』




ｻ「冗談なんかじゃねぇよ。俺は本気だ。」




『……ど、どうして…？私…サンジ君に好きになってもらえるような事したかな？』




ｻ「アムールちゃんの笑顔、笑い声、優しい所、全部が好きだ。…アムールちゃんは俺のこと…どう思ってる…？」




『え……。…その……ごめん…なさい。…私、そんなふうに考えたことなくて……。でも嫌ってわけじゃないの。サンジ君のことは好き。けどこの好きは恋愛としての好きなのかどうかわからない……。』




ｻ「…だよな。ごめんな。急に困らせるようなこと言って。忘れてくれ。」




サンジはそう言うとラウンジへと戻っていった。




『………。』




どうしよう…。
サンジ君が私の事を好きだなんて……。

今の私じゃその気持ちには応えられない…。
だって私はサンジ君のことを知らない。
私が知ってるのはあの日記に書いてある事だけ。
サンジ君がどういう人なのか、どんな物が好きで、何が嫌いなのか…。
私はサンジ君のことを全然知らない……。




その頃、サンジは。




ラウンジの扉を閉めるとそこに寄りかかった。




ｻ「はぁ…。」




勢いで言っちまった…。
…アムールちゃん困った顔してたな…。




ｻ「何やってんだよ…俺は……。」




サンジは大きなため息をつくと朝食の準備を始めた。





しばらくして他のクルー達も集まっていつものように騒がしい朝食が始まった。




『いただきま～す♪』




アムールは先程の事は気にしていないかのように笑う。
そんなアムールを見てサンジは少し安心した。





『……！』



何これ…。
すごい…。
サンジ君のお料理っていつもこんな感じなのかな…。
初めて味わう感覚だ。





ｻ「アムールちゃん？どうかした？」




『このオムレツがすっごく美味しかったからビックリしちゃった♪』




ｻ「そんなにか？別にいつもと同じレシピだぜ？」




『サンジ君のご飯はいつも美味しい驚きでいっぱいなんだよ♪』




ｻ「そんなに褒めてもらえて嬉しいよ♪」




嬉しそうにニコニコと笑うアムールに
サンジも笑顔を返した。