☆想いでノート
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船に戻るとラウンジで本を広げて3人で読み進めた。
『幼い頃、私は願った。』
チョ「いつも怒ってばかりの母を優しい母にしてほしいと。」
サ「強く願った。するとどこからか女神様が現れた。」
『女神様は私の願いを叶えると言い、母から怒りを盗んでいった。その日から母は怒らなくなった。』
チョ「最初のうちはとても快適だった。」
サ「けれどだんだんと気味が悪くなってきた。」
『母は何をしても怒らないのだ。悪い事をしても、母の大切な物を壊しても。』
チョ「急に怒らなくなった母を気味悪がって父は母を捨てた。母はそれでも怒らなかった。」
サ「私は罪滅ぼしのつもりで母について行った。」
『私がどんなに謝っても、どんなに懇願しても母は元の母には戻らなかった。』
チョ「それから50年。母は死ぬまで怒らなかった。」
サ「私は母からとても大切なものを奪ってしまったのだ。」
『家族との幸せな時間、母の人生、母の意思、母の愛。怒りは愛だ。愛しているから怒るのだ。後悔してもしきれない。』
チョ「私は母が亡くなってから小さな駄菓子屋を始めた。子供たちに私と同じ思いをして欲しくない思いからこの話を聞いてもらうためだ。」
サ「雨の日は子供たちも遊ぶ場所がなくなる。そんなちょっとした暇な時でいい。私の話を聞きにきてほしかった。だから雨の日は雨にちなんで子供たちに飴を配ることにした。」
『いつしか子供たちは飴を目当てに店に来るようになった。そこから雨の日は私の体験した話を聞かせた。とても興味深かったようで子供たちは天気の良い日にも店に来てくれるようになった。』
チョ「この話は子供たちにとってただのおとぎ話程度でしかないだろう。けれどそれでも心のどこかに残っていてほしい。他者の大切なものは決して奪ってはいけないと。」
アムールはゆっくりと本を閉じた。
サ「雨の日に飴を配ってたからペンネームがレイン・ドロップって所か。」
チョ「…本当に感情なんて形のないものを盗めるのかな?」
『そうだよね。でもこの人のお母さんは本当に怒らなくなっちゃったわけだし…。』
サ「それができるならアムールちゃんもこの女神様に記憶を盗まれたって可能性もゼロじゃねぇよな…。」
『…女神様は毎日、私の記憶を盗みに来てるのかな…?それならいつも同じ時間にリセットされるのも説明がつく気がする…。』
チョ「だとしても俺、女神様に会ったことないゾ?」
サ「確かに何回かアムールちゃんの記憶がリセットされるタイミングに一緒にいたけど女神様に会ったことねぇな。」
『じゃあ、女神様じゃないのかな…?…これだとまた振り出しだ…。』
『幼い頃、私は願った。』
チョ「いつも怒ってばかりの母を優しい母にしてほしいと。」
サ「強く願った。するとどこからか女神様が現れた。」
『女神様は私の願いを叶えると言い、母から怒りを盗んでいった。その日から母は怒らなくなった。』
チョ「最初のうちはとても快適だった。」
サ「けれどだんだんと気味が悪くなってきた。」
『母は何をしても怒らないのだ。悪い事をしても、母の大切な物を壊しても。』
チョ「急に怒らなくなった母を気味悪がって父は母を捨てた。母はそれでも怒らなかった。」
サ「私は罪滅ぼしのつもりで母について行った。」
『私がどんなに謝っても、どんなに懇願しても母は元の母には戻らなかった。』
チョ「それから50年。母は死ぬまで怒らなかった。」
サ「私は母からとても大切なものを奪ってしまったのだ。」
『家族との幸せな時間、母の人生、母の意思、母の愛。怒りは愛だ。愛しているから怒るのだ。後悔してもしきれない。』
チョ「私は母が亡くなってから小さな駄菓子屋を始めた。子供たちに私と同じ思いをして欲しくない思いからこの話を聞いてもらうためだ。」
サ「雨の日は子供たちも遊ぶ場所がなくなる。そんなちょっとした暇な時でいい。私の話を聞きにきてほしかった。だから雨の日は雨にちなんで子供たちに飴を配ることにした。」
『いつしか子供たちは飴を目当てに店に来るようになった。そこから雨の日は私の体験した話を聞かせた。とても興味深かったようで子供たちは天気の良い日にも店に来てくれるようになった。』
チョ「この話は子供たちにとってただのおとぎ話程度でしかないだろう。けれどそれでも心のどこかに残っていてほしい。他者の大切なものは決して奪ってはいけないと。」
アムールはゆっくりと本を閉じた。
サ「雨の日に飴を配ってたからペンネームがレイン・ドロップって所か。」
チョ「…本当に感情なんて形のないものを盗めるのかな?」
『そうだよね。でもこの人のお母さんは本当に怒らなくなっちゃったわけだし…。』
サ「それができるならアムールちゃんもこの女神様に記憶を盗まれたって可能性もゼロじゃねぇよな…。」
『…女神様は毎日、私の記憶を盗みに来てるのかな…?それならいつも同じ時間にリセットされるのも説明がつく気がする…。』
チョ「だとしても俺、女神様に会ったことないゾ?」
サ「確かに何回かアムールちゃんの記憶がリセットされるタイミングに一緒にいたけど女神様に会ったことねぇな。」
『じゃあ、女神様じゃないのかな…?…これだとまた振り出しだ…。』
