しばらくして甲板が騒がしくなり始めた。




フォルテは壁に手を当てて音を確認する。



人がたくさんいるみたい…。
足音がいっぱい。
みんな大丈夫かな…。



やっぱり私も何かやらなきゃ！



フォルテが意を決して甲板へと出ようとした時
勢いよくドアが開いた。



「女がいたぞ！」



「捕らえろ！ソイツを人質にするんだ！」



『…！？』



誰…！？
嫌っ！
こっち来ないで！



フォルテは狭い部屋の中を逃げ回りなんとか広い甲板へと逃げ延びた。



甲板ではクルー達が戦っていた。



ﾌ「さっき中に何人か入っていったぞ！」



ｻ「やべぇ！中にはフォルテちゃんが！」



「いたぞ！」



ﾁｮ「フォルテ！」



フォルテは戦闘に苦戦するクルー達を前に立ちすくんでいた。



どうしよ…。
なんとかしなきゃ！
なんとかしてみんなの役に立てれば…！



そう考えるフォルテの後ろには数人の海賊達が迫っていた。



「弱らせてから捕まえるんだ！」



1人がそう言うとフォルテに向けて銃を構えた。



ｳ「やべぇ！」



ﾅ「フォルテ！」



「よそ見するな！お前の相手は俺だっ！」



ﾅ「きゃっ！」



ｻ「ナミさん！」




『…！』



ナミ！
ナミにひどい事しないでっ！



フォルテがたまらず飛び出した時だった。



《バーンッ！》



『…！？…え……？……ぅっ…。』



《ドサッ》



ﾁｮ「フォルテっ！」



ﾅ「フォルテ…いやぁぁぁっ！」



「おい！致命傷を与えてどうする！」



「あの女が急に動きやがって…！」



ﾙ「おぃ！お前！」



「ヒィィィッ！お、お頭と戦ってたんじゃ…。」



ﾙ「もうぶっ飛ばした。次はお前らだ！」



ルフィは海賊達を睨みつける。



「ヒィィィィッ！お、お前ら退散だ！お頭を拾いに行くぞ！」



海賊達は自分達の船へと帰っていった。



ﾙ「フォルテ！」



クルー達がフォルテに駆け寄る。



背後から至近距離で撃たれたフォルテは意識を失い、甲板に倒れこんでいた。



ﾁｮ「まずい…。銃弾が背中から胸に貫通してる…。恐らく肺にも穴が開いてる…。それに出血量も…。」



ｻ「フォルテちゃん！頼む！目をあけてくれっ！」



サンジが必死にフォルテの肩を叩き呼びかける。



ﾁｮ「サンジ！そのま続けてくれっ！」



チョッパーはそう言うとすぐに処置を始めた。



ﾙ「フォルテ！起きろっ！」



ﾌﾞ「フォルテさんっ！」



ﾅ「フォルテっ…！お願い！目を開けて…っ…！」



『ゲホッ…ゲホッ…。ぅ…。』



ﾅ「フォルテ…？」



ｻ「わかるか！？」



『…っ…。』



ゆっくりと開いたフォルテの目がクルー達をとらえた。



みんな…。
どうしてそんな顔してるの…？

私…どうなっちゃったの…？


…そうだ…。
ナミを助けようとして……。

あ…。



ﾅ「フォルテ…？」



フォルテの震える手がゆっくりとナミへと伸びる。



ナミ…。
ケガしてる……。
ごめんね、ナミ…。



フォルテがナミの傷ついた腕をそっとさすった。



ﾅ「こんなのかすり傷よ…。それより自分の心配しなさいよ…っ…。」




『……。』



ナミが泣いてる……。

泣かないで…。
私は大丈夫…。
チョッパーがいるもん…。



『ゲホッ……ゲホッ……。』



ﾅ「血が………。」



『…ぅ…。』



もう限界だ…。
起きてられない…。

少しだけ寝かせて…。



ｻ「フォルテちゃん！ダメだ！起きてくれ！目を開けるんだっ！」




あ…。
サンジ君の声がする…。
ごめんね、サンジ君…。
私ね、なんだか眠たいの…。
だから少しだけ寝かせて…。



ﾁｮ「フォルテっ！…まずい…。応急処置は終わったけど急いで肺の穴を塞がないと呼吸が…！」



チョッパーは少し考えたあと
すぐに医療道具を広げた。



ﾁｮ「このままここでやる！みんな協力してくれ！」