後片づけを終えて甲板で一服していると
フォルテちゃんがやってきた。



ｻ「フォルテちゃん？もう大丈夫なのか？」



サンジがフォルテに声をかけようとするとフォルテは鍵を取り出して楽器部屋を開けた。



ｻ「こんな時間に楽器？」



フォルテはしばらく中を見つめると楽器達に深々と頭を下げた。



ｻ「フォルテちゃん…。」



フォルテはそっと楽器部屋に鍵をかけるとギュッと鍵を握りしめた。



『バイ…バイ…。』



フォルテは小さく一言つぶやくと
鍵を思いっきり海へと投げた。



ｻ「な！？フォルテちゃん！？」



サンジが慌てて駆け寄るが間に合わず
鍵は海へと沈んでいった。



ｻ「間に合わなかったか…。」



『あ…。』



またサンジ君だ…。
私、バカだな…。
前にもこの時間にサンジ君に見つかったんだった…。



ｻ「フォルテちゃん…。」



サンジは悲しそうな目でフォルテを見る。



フォルテはそんなサンジから目を背けて部屋に戻ってしまった。



部屋に戻ると薬が置いてあった。



『……？』



今朝と違う薬だ…。
何でだろ…。

まぁ、いいや…。
もうどうだっていい…。

もう聞こえないし
楽器も吹けない…。
それなら…
もう何にもいらない…。

この薬もどうせ効かないよ…。
でも飲まなかったらチョッパーが怒るかな…。


フォルテはそう思い
薬を口に放り込んだ。



その頃サンジは真っ暗な海を見つめていた。



ｻ「参ったな…。いくら停まってるとは言えこの広い海に小さな鍵か…。さすがに見つけられねぇだろう…。それにすぐ流されちまうな…。明日、ダメ元で潜ってみるか…。」