翌日。
昨夜あった事が他のクルー達にも伝えられた。



それから数日間。
クルー達はフォルテに声をかけ続けた。
聞こえないとわかっていても身振り手振り、時に筆談をしながらも声をかけ続けた。



『………。』



最近みんながおかしい。
私を1人にしないようにしてる。
そりゃそうか…死のうとしたんだもんね…。

でも…どうしてみんな止めるんだろう…。
音楽ができなくなった私に何の価値があるんだろう…。

この前、サンジ君は音楽ができなくても大丈夫。
誰も私を嫌いになったりしないよって感じの事を言ってたんだと思う。
なんとなくだけど。
でも私は嫌なの。
音楽ができない自分が嫌なの…。




ｳ「島が見えたぞー！」



ﾙ「やっほ～い☆フォルテ！肉食いに行こうぜ！」



ルフィが身振り手振りでそう言うとフォルテは持っていたメモに一言書いた。



《行かない。チョッパーと行けばいいじゃん。》



ﾙ「チョッパーは行かねぇ。忙しいからな。」



『………？』



今、何て言ってたんだろ。
急に真剣な顔になって…。
怒ったのかな…。
だったらそれでいい。
早く私を嫌いになって捨ててほしい。
ここで死ねないなら他で死ぬ。



それからしばらくして船は島に到着した。



ﾅ「ここはログが溜まるのが長いから1ヶ月くらい停泊するわ。以上、各自解散！」



フォルテは何かを言うナミと周りに集まるクルー達を輪の外からそっと見ていた。



あれ…？
チョッパーがいない。
どうしたんだろ。



しばらくするとクルー達はそれぞれ船を降りていった。



ルフィも意気揚々と船を降りる。


するとすぐ後ろを慌てた様子でチョッパーが降りていった。



なんだ。
結局チョッパーと行くんだ。



フォルテは降りていくクルー達を見送ると甲板の芝生に座った。



風が吹いてる…。
でも聞こえない。
前は風の音が聞こえたのに…。
船の上にいるのに波の音も聞こえない…。



フォルテが俯いていると誰かが肩を叩いた。



『…？』



振り返るとナミが立っていた。



ﾅ「はい♪」



そう言ってナミはメモを手渡した。



メモにはこの島に1ヶ月停泊する事と船番の当番が書かれていた。



私も入ってる……。
誰かが襲って来ても聞こえないから気づかないかもしれないのに………。


ふと隣に書かれた名前に気づき
フォルテはふっと息を吐いた。



そっか。
だからサンジ君とブルックも一緒なんだ。
私じゃ役立たずだしね…。



フォルテがため息をついていると
隣に誰かがやってきて急に寝転んだ。



『…？』



あ…。
ゾロだ。
そう言えば今日はゾロが船番って書いてあったな。



『はぁ～…。』



フォルテは再びため息をついた。



何でわざわざ私の隣で寝るのよ…。



フォルテが立ち上がろうとすると
ゾロが急に手を引いた。



『…！？…っ！』



フォルテは尻餅をついた。



『…っ！』



フォルテはゾロを睨む。






ゾロはそれを見て何も言わず再び眠りに入った。



もー！
何なのよ！
ここにいろってこと？
ここにいて何するのよ！
あんたの寝顔でも眺めておけばいいわけ？
別に興味ないし！
サンジ君ならまだしも。
…？
何でサンジ君…？
まぁ、いいや。
そう言えばサンジ君と離れるの久しぶりかも。
最近ずっと近くにいたからな…。
なんか変な感じ…。



フォルテはそう思いつつ辺りを眺める。



いい天気…。
みんなはどこに遊びに行ったのかな…？
楽しんでるといいな。
私がいなかったらきっと思いっきり楽しめるよね。



『はぁ…。』



フォルテは3度目のため息をつくとゾロの隣に寝転んだ。



私も寝よ。
やる事ないし。