昼休みが終わり体育の時間。

浅井さんは木陰に座ってこちらを静かに見ている。



ｻ「そりゃそうだよな…。」



「ねぇ、ねぇサンジく～ん。何見てるの～？」



クラスの女子がサンジに問いかける。



ｻ「え？あぁ…。なんでもねぇよ。」



彼女はサンジの視線の先に浅井がいる事に気づくと少しムッとした。



「サンジ君ってあぁいうのがタイプなの？やめておいた方がいいよ？性格悪いし、障害者だし、ってかいつも眼帯してて厨ニ病かっつーの。マジでダサいわー。」



「ユリー！次ユリの番だよー！」



「はいはーい！今行く～！」



彼女は友達に呼ばれて走っていった。



ｻ「そういう事か…。」



恐らく浅井さんはクラスメイトに軽蔑され、その視線をずっと耐えて来たのだろう…。

そりゃ、人を信用できなくなるし、友達も作りたくなくなるよな…。




体育の授業が終わり、放課後。



制服に着替えて帰ろうと廊下を歩いているとすぐ目の前にうずくまる
浅井さんを見つけた。



俺はとっさに駆け寄った。



ｻ「大丈夫か！？」



『…！？…だ、大丈夫です。転んだだけなので。ご心配どうも。』



浅井さんは驚いた顔をした後、頭をさげて自分で立ち上がり再び廊下を歩いていった。



ｻ「待って！」



『何か用でも…？』



彼女は少し無愛想に答えた。



ｻ「いや…用っていうかさ…その…。」



『何もないなら失礼します。急いでいるので。』



ｻ「委員会だろ？保健室まで手貸すよ。」



『ご心配なく。1人で行けるので。』



ｻ「だ、だよな…。」



『私に構わないでください。』



彼女はそれだけ言うと保健室へと歩いて行った。



その日の夜。

サンジは考えていた。



なんか気になるっつーか、
ほっとけねぇっつーか…。
なんとかして近づけねぇもんか…。

話しかけた時のあの顔が引っかかるんだよな…。
すげぇ驚いてて、不思議そうで…
まるで数年ぶりに人に話しかけられたみたいな…ってそれはさすがにねぇか。
保健医とも話してたしな…。



そんな事を考えながら夜は更けていった。