ﾁｮ「どっか痛い所ないか？」



心配そうに聞くチョッパーを少女はぼーっとした瞳で見つめた。




あれ…？
私、どうしたんだろ？

変な生き物が喋ってるように見える…。

これは夢…？



しばらくするとそっと手がチョッパーに向けて伸ばされた。



その手はチョッパーの鼻へ。



青い鼻がキュッとつままれた。



ﾁｮ「イテテテテ！何だ！？」



『触れた…。お化けじゃないんだ…。』



ﾁｮ「俺はトナカイだー！」



『トナカイ…？トナカイって…喋るんだっけ…？』



ﾁｮ「俺はヒトヒトの実を食べたからな！」



『能力者なんだ…。ヘンな夢…。』




ﾁｮ「夢じゃないゾ？」



『………え…？』



少女はようやくハッキリし始めた意識の中で自分の手首に巻かれた包帯に気づいた。




『あ……。…わ、私………っ！…いやぁぁぁぁぁぁっ！』




ようやく思い出した昨夜の出来事に少女はベットから飛び起き頭を抱えて叫んだ。



ﾁｮ「落ち着け！もう大丈夫だ！」



『い、いや……。』



少女はひどく怯えガタガタと震えていた。



そこへ叫び声を聞いてサンジが入って来た。



ｻ「どうした！？」



『……っ！？』



ｻ「大丈夫か？」



『い、いや…やめて……来ないでっ！』



呼吸を荒げてひどく取り乱す少女にサンジはそっと身を引いた。



ﾁｮ「大丈夫だ。サンジは何もしないゾ？この船のコックなんだ。だから大丈夫。ゆっくり息をして。そう。」




『…はぁ………はぁ………。』



ｻ「悪ぃ。びっくりさせちまったな。
後で落ち着いたらメシ持ってくるな。」



サンジはそう言って医務室を出た。



サンジはキッチンに戻ると食事の支度を始めた。



ｻ「無理もねぇな…。ひでぇ事されたんだ…。いきなり男が入って来たらパニック起こすよな…。しばらく野郎は医務室には出入り禁止だな。」




その頃、医務室では。



『ごめんなさい……。取り乱しちゃって…。』



ﾁｮ「気にすんなって♪俺はトニー・トニー・チョッパー！キミは？」



『メグ。この島に住んでるの。ねぇ、さっきここ船だって言ってたけど……。』



ﾁｮ「うん！俺たち海賊やってるんだ♪」



『海賊……。』



その言葉にメグの体が震えた。



ﾁｮ「大丈夫。俺たちは何もしない。」



『…昨日…の…人も…海賊って言ってた…。』



ﾁｮ「そっか…。怖かったな…。」



チョッパーのその言葉にメグはポロポロと涙を流した。