久しぶりの里帰り。

そしてこの場所で歌うのも久しぶり。



リハーサルの休憩時間。
懐かしさにひたりながら街を歩いていると
どこか懐かしい人を見つけた。



彼は森の入り口をとても懐かしそうに見つめていた。



その顔を見て
すぐにサンジ君だと気づいた。




背が高くて、少しヒゲのはえた彼は煙草を加えている。



とても大人っぽくなっているけど
あの人は間違いなくサンジ君だ。




しばらくあとをついて行くと沢山の食材を抱えて人気のない入り江に着いた。


そこには大きな船。




『これがサンジ君の船！？おっきい。』




よく見ると帆と旗には麦わら帽子をかぶったドクロのマーク。




『海賊…？』



あの優しかったサンジ君が海賊なんて…。



そんなヒカリの気持ちをよそにサンジは船に乗っていった。




『そんな…。サンジ君…。』




ヒカリがガッカリしていると荷物を置いたサンジがすぐに船を降りてきた。



慌てて茂みに隠れるとヒカリの子電電虫がなった。




『も、もしもし。』




「いつまでほっつき歩いてるのよ。そろそろ本番なんだから早く帰ってきなさい！」




『げっ！もうこんな時間！ごめんなさいマネージャー！すぐに戻ります！』



ヒカリは電話を切ると茂みの中を走った。




『近道知ってるところで助かった～。これなら2分でつける♪』









船に着くと俺は夕方から始まるライブのために荷物を置いてまた船を降りた。




会場に着くとすでにたくさんの人で埋め尽くされていた。




ｻ｢こんなにデカいところもファンでいっぱいに出来るなんて…。ヒカリちゃんはやっぱすげぇな。｣








俺は一番後ろにそっと立った。





しばらくすると観客の歓声とともに広いステージの上にヒカリちゃんが立った。




『みんなーっ！ただいまーっ！』




「「「おーっ！ヒカリちゃんおかえりーっ！」」」




『すごいね！お客さんでいっぱい♪後ろの人もちゃんと見えてるからねーっ！』




そう言って遠くまで見渡すとサンジがいるのが見えた。




サンジ君！？


来てくれたんだ。




サンジと目が合うとサンジはあの日と変わらない笑顔を向けた。