『…っ…っ…。』




痛い。
怖い。

でも耐えなきゃ。
ここで声をあげたら
いくら田舎で家どうしが離れていても誰かに気づかれちゃうかもしれない。


そしたらきっとおばあちゃん達の幸せが壊れちゃう。


そんなの絶対ダメ…！




「あら、これなぁに？」



母親が彩夏の指輪に気づく。



『これはダメ！』



「キレイじゃないの。私によこしなさいよ。」



『絶対ダメ！』



「ふんっ！」



母親は彩夏の腹に蹴りを入れた。



『ぅっ！…。』




ｻ｢レディーに手あげるとは最低な野郎だな。｣




『…！？』




「誰だ！」



ｻ｢そこにいるプリンセスを奪いにきたプリンスさ。｣




「何を訳のわからんことを言ってるんだ！出ていけ！」



ｻ｢プリンセスを奪ったらすぐに出ていくさ。｣




『サンジく……来ちゃダメ…っ！』




「お前は黙ってろ！」



父親は彩夏の腕をあらぬ方向へ曲げた。


その瞬間


《ゴキリ。》


と鈍い音が響いた。




『あぁっっ！』

彩夏は耐えきれずに声をあげた。



ｻ｢彩夏ちゃんっ！てめぇ…っ。｣



サンジが戦闘態勢に入ると
彩夏がサンジを止めた。




『やめて…2人を…傷つけないで…。』




ｻ｢彩夏ちゃん…どうして…。｣




『お願い…。』




「黙れと言ってるのがまだわからんのか！」




《グキッ。》





『あぁぁぁっ！』



ｻ「彩夏ちゃん！…クソッ！」



しかたねぇ
一か八かけてみるか。


サンジはポケットから煙草を取り出すと夫婦にむけて素早く投げた。



「「！？」」



突然何かが飛んできたことに
驚いた夫婦はとっさに彩夏の手を離し煙草をよけた。



その隙にサンジは夫婦の足を蹴ってはらった。




夫婦は尻餅をついて転んだ。



ｻ「彩夏ちゃん！」



サンジは急いで彩夏を抱きあげると窓から脱出した。