それから数日後。
俺は休みをもらい穂乃花ちゃんに会いに行った。



穂乃花ちゃんは前と変わらず眠ったままだった。


ｻ｢穂乃花ちゃん…。俺、ずっと考えてたんだ。君に避けられた理由を。でもわからねぇんだ…。だから言ってくれねぇかな…。全部話してくれよ………。｣


俺は穂乃花ちゃんに話しかけるがやっぱり君は無反応…。




ｻ｢穂乃花ちゃん……。頼む……もう一度、俺と話しをしてくれ……。｣



すると一瞬、握っていた手が動いた気がした。



ｻ｢穂乃花ちゃん？｣


俺がもう一度名前を呼ぶと小さな手が俺の手をそっと握り返した。



ｻ｢穂乃花ちゃん！」



俺は必死に名前を呼んだ。


するとゆっくりと穂乃花ちゃんの目が開いた。



『ん………。』



ｻ｢穂乃花ちゃん！俺だ。わかるか？｣



穂乃花ちゃんの瞳が俺をとらえた時、穂乃花ちゃんの目から涙が溢れた。



ｻ｢よかった！今、先生呼んでくるからな！」



サンジは足早に病室を出た。





私…生きてる………？


今のは…サンジ君…？
夢じゃないよね………？



しばらくして医師とサンジが帰ってきた。



｢状態もかなり安定していますし問題はないでしょう。｣



ｻ｢よかった！」


医師は穂乃花の酸素マスクを外して病室を出ていった。



ｻ｢穂乃花ちゃん。｣



『サンジ君…どうして…？』



ｻ｢穂乃花ちゃんのことがずっと頭から離れなかった。穂乃花ちゃん、俺のこと避けてたろ…？その理由をずっと考えてたんだ…。でも俺にはわからなかった…。｣



『も……う……っ……と思った……。』



ｻ｢え…？｣


穂乃花はポロポロと涙を流した。



『もう…会いに来てくれないと思った…。』



ｻ｢それはごめん。しばらく仕事がたまっててなかなか会いに来れなかったんだ。｣


穂乃花は首を横に振る。



『違う…。違うの…っ。サンジ君が…っ…退院しちゃったら…もう私に会いに来る理由がなくなるから…っ…だから…っ…。』



ｻ｢だから俺に冷たくして自分から嫌われようとしたのか…。｣



穂乃花は何度も頷いた。



ｻ｢穂乃花ちゃん…。俺が前に言ったこと覚えてる？｣



『え…？』



ｻ｢言ったろ？いつでも話し相手になるって。｣



『サンジ君…。』



ｻ｢退院したからって関係ねぇさ。俺は穂乃花ちゃんに会いに来るよ。まぁ、仕事もあるから前みたいに毎日ってわけにはいかなくなるけどな。｣



『ホントに…？』



ｻ｢あぁ。｣



穂乃花は再び涙を流した。



『嬉しい。』



ｻ｢ほらほら、もう泣くなよ。プリンセスには笑顔が一番さ。｣



『うん。』



穂乃花は涙をぬぐって笑って見せた。