夢のその先へ

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ヒロイン

その日の夜。






サンジ君ビックリしたかな…。

私があの家の娘だって知ったからきっと距離をおいちゃうかもな…。


でも仕方ないよね…。
あの人達は金持ちを鼻にかけたような性格で
おかげで金持ちってだけで毛嫌いされるような町になっちゃったし………。


それに別れには慣れてるから…大丈夫…………。




穂乃花はベッドから起き上がると窓を開けて自分の生まれた大きな屋敷を眺めた。



『……神様は残酷だね……。』











翌朝。



「窓開けたまま寝るから風邪引くんですよ!肺炎でも併発したらどうするつもりだったんですか!…今のあなたの体力じゃ、命に関わるんですよ。」



『ごめん…なさい……。』



「もう少し体のことを考えてください…。」



『………。』



年配のナースは少し困ったような表情をして病室から出ていった。








俺がいつものように階段を上がりきるとナースとすれ違った。




「今日は話できる状況じゃないですよ。」



サ「何かあったんですか…?」



「風邪ひいたのよ。ちょっと熱も高いから…。」



サ「そうですか…。穂乃花ちゃん…………。」





『ゴホッ……ゴホッ……。はぁ…はぁ…。』



苦しい…………。

少し寝よ……………。











ふと暖かい感覚で目を覚ました。



誰かが私の手を握ってる…?




『ん………。』



サ「起きたかい?」




『どうして…?』



サ「穂乃花ちゃんのそばにいたかったから♪」



『………。無理…しなくて…いいよ…。私…みたいな…家柄の子…嫌でしょ…。』



サ「そんなこと気にしてないさ。家柄なんかどうだっていい。穂乃花ちゃんは穂乃花ちゃんだろ?家のことを知ったからって君は変わらない。だからこれからも毎日ここにくるよ。」



『ほんと……?』



サ「あぁ♪」



『嬉しい…こんなこと…言ってくれた人…初めて…。』



そう言いながら少し涙目で笑う穂乃花ちゃん。



サ「またたくさん話ができるように早く風邪治そう?」



『うん…。』



サ「今日はできるだけここにいるから安心して寝ていいよ。」



『ありがとう…。』



穂乃花はサンジの手を握り返すとゆっくりとまぶたを閉じた。




穂乃花が目を覚ましたのは夜も更けた頃だった。


穂乃花の手を握ってくれていたサンジの姿はなく、代わりに穂乃花の手の中には小さなメモが握られていた。



《また明日な。》


たった一言そう書いてあるだけのメモ。
それでも穂乃花はそれを大事そうにギュッと握りしめた。



『また明日。』


そう呟いて幸せそうに再び眠りについた。
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