夢のその先へ

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ヒロイン

『ん……。』



サ「目が覚めた?」



『今…何時…?』



サ「夕方の5時だよ♪」



『私そんなに寝ちゃってたんだ…。』



サ「昨日、寝てなかったんだろ?」



『え…?』



サ「さっき点滴交換しにきた看護師さんが言ってた。ベットサイドのライトつけてずっとなんかしてたって。」


『最近、夜眠れなくて…。』



サ「何やってたの?」



『編み物。』



サ「編み物?」



『こういうの好きなんだ。今クマの編みぐるみ編んでるの♪』


そう言ってベッドの近くにある棚の引き出しから編みかけの毛糸を出した。



サ「うまいなぁ♪」



『全然だよ///』



なんて少し照れくさそうに笑う穂乃花ちゃん。



サ「完成したら見せてな♪」



『うん♪』



サ「穂乃花ちゃんは誰に編み物教わったの?」



『本とか見て自分で覚えたんだよ。』



サ「お母さんとかは編み物しないのかい…?」



『………知らない…。』



サ「ごめん…。聞いちゃまずかった…?」



『うぅん…。サンジ君だから全部話すね…。私、ここに来てから両親と一度も会ってないの…。』



サ「一度もって…。」



穂乃花ちゃんは窓の外を指差した。



『あそこが私の家…。』



穂乃花ちゃんの指差す先にはこの町で一番の金持ちの屋敷があった。



サ「え…?確かあの家って一人娘じゃ…。」



『正確には娘は2人。私は計画のために生まれたの…。』



サ「計画?」



『この町にもう1つ同じくらいの屋敷があるの知ってる…?』



サ「あぁ。」



『そこには3つ年上の男の子がいてね、その子を婿入りさせればうちの会社はさらに大きくなるし、ライバルがいなくなる。私はその計画のための道具“だった”の…。』



サ「政略結婚ってことか……。でも“だった”って…。」



『両親は体の弱い私を使い物にならいと判断したんだと思う…。私をここに閉じ込めて私の口座に大金を振り込んだの…。』



サ「大金……。」



『だからここの入院費は私の口座から毎月引き落とされてるの…。』



サ「じゃ、もう一人は……?」



『もう一人の子は私と同い年の養子なの…。私をここに閉じ込めたのとほぼ同時に迎えたみたい…。だから私がいなくても計画は達成される………。両親はもう私の存在を忘れちゃってると思う………。』



サ「そんな………。」



『でも、私、辛くないよ…?ここにいた方が気が楽だし。会ったこともない人と結婚だなんて嫌だもん。』



穂乃花ちゃんはそう言いながら俺に微笑んだ。



サ「穂乃花ちゃん…………。」



と、そこへナースがやって来た。




「サンジさん。そろそろ夕食の時間なのでお部屋に戻ってください。」



サ「あ、はい…。」



『ごめんね、重い話しちゃって…。でも私は全然平気だから。じゃ、また明日…。』



サ「あぁ…また明日…。」
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