夢のその先へ

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ヒロイン

足をケガして入院した病院。


リハビリのために院内を歩き回っていたらいつの間にか薄暗い最上階まで来ていた。



サ「戻るか…。」



体の向きを180度変えて階段を降りようとした時、薄暗い廊下の角部屋からテレビの音らしきものが聞こえてきた。



サ「確か5階って誰もいないんじゃ…。」


俺は気になり松葉づえをつきながら扉の開いた角部屋へ向かった。




そこにいたのは金色の長い髪に透き通るような青い瞳のとても小さな少女だった。


彼女の周りには心電図やら沢山の機械と点滴が並んでいた。



彼女は俺に気づき手を伸ばした。



俺がゆっくりと近づくと辛そうな表情で何かを指差していた。


彼女が指差す先には床に落ちたワイヤレスのナースコールだった。



サ「これ、押せばいいのか?」



彼女はゆっくりと頷いた。


ナースコールを押すとしばらくして医師とナースがやってきた。



「どうしました?」



サ「ナースコール落ちてて押せなかったみたいだったんで…。」



「ありがとう。ここはもう大丈夫だから君は自分の部屋に戻ってていいよ。」




サ「はい。」



「先生!発熱してます!」



「処置室に運んでくれ!」



「はい!」



彼女は慌ただしい様子でキャスターのついたベッドごと処置室へ運ばれていった。




翌日。




「サンジさんまた院内歩いてたでしょ。あんまり無理したら治るの遅くなりますよ?」



サ「動いてないと落ち着かなくて…。」



「程々にしてくださいね。」



ナースといつものようにこんなやりとりをしていたが昨日の女の子が気になってふいに尋ねてみた。



サ「昨日5階で女の子に会ったんだ。他の患者の噂じゃ5階は誰もいないって聞いたんだけど…。」



「5階には個室が1つあってね、ずっと前からそこに女の子がいるのよ。彼女体が弱くてね…。」



サ「その子、今は?」



「昨日、熱出してたみたいけど処置も終わったから病室よ。」



サ「そうですか。」



「サンジさんあぁいう子がタイプなの?」



サ「いやぁ、なんていうか…。」



「よかったら会いに行ってあげて。あの子ずっと一人だから…。」



サ「はい。」






俺は昼過ぎに彼女の病室にたどり着いた。



昨日と同じように病室の扉は開いていて沢山の機械に繋がれた彼女は俺を見つけると柔らかく微笑みながら手招きしてベットをポンポンと叩く。


俺は彼女のベットに腰をおろした。



『昨日はありがと。』



サ「いやいや。」



『私、穂乃花。あなたは?』



サ「俺はサンジ。よろしく。」



『よろしく。…いつもは扉閉めてもらってるんだけど昨日はたまたま看護師さんが閉め忘れちゃってて。でもおかげであなたに会えた。あなたに見つけてもらえなかったら今頃私はどうなってたか…。本当にありがとう。』



サ「俺は大したことしてねぇって。今日も閉め忘れ?」


『うぅん。今日はサンジ君が来てくれる気がしたから開けておいてもらったの。』


サ「そうか。俺もなんか穂乃花ちゃんのこと気になっちまって。」




『私、こんな体だからちょっとした風邪でも肺炎を併発したりで命に関わることが多くて……。』



サ「そうか…。」



『サンジ君は…足、ケガしたの…?』



サ「バイクで事故っちまって。」



『そう…。早くよくなるといいね。』



サ「ありがと。穂乃花ちゃんはいつからここに?」


『16年前…。』



サ「16年!?…って今いくつ?」



『18…。見えないでしょ?顔も童顔だし、身長145cmしかないから。』



サ「ずいぶん小柄なんだな。」



『こんな狭いところにずっと缶詰めだから成長止まったのかも(笑)』



なんて言いながら笑う穂乃花ちゃん。


でも見渡すと室内にはソファーがあって、バルコニーまである。
他の病室と比べればかなり広い。



サ「外に出たりは?」



『体調がいい日は出るけど最近はほとんどない…。何かあった時のために持ち歩けるようにワイヤレスのナースコールにしてもらってたんだけどもういらないや…。』


そう言いながらコードのついたナースコールを指差した。



『昨日みたいになったら困るからこっちにしてもらっの。』



サ「その方がいいかもな。」


『これなら落としてもコード引っ張れば拾えるしね。』




サ「だな。」
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