鋼の錬金術師(短編)
「大佐~、熱い熱い熱いあーつーいー」
「…夏だからな」
イーストシティは今が夏本番。
東方指令部も猛暑にさらされており、建物自体がフライパンのように熱くなっていた。
壁や床のコンクリート部分で目玉焼きが作れそうだ。
ロイやエドがいる司令室も例外ではなく、エドはソファーにぐったりして熱い熱いとだだっ子になっていた。
「なぁ、大佐なら気体錬成で涼しくできるだろ?
やってくれよー。」
「断る。
熱いのは君だけじゃないし、この忙しいのにそんな労力を払っている時間はない。」
ロイは汗をかきながらもせっせと書類をさばいている。
机の上の書類の山はなかなか減らないようではあるのだが。
「大佐のいけずー。
こちとらオートメイルなんだぞー!
汗かけないんだからな!
熱こもってたまんないんだからな!」
「わかったわかった。
しかし我慢したまえ。」
「あー、その顔はことの重大性がわかってねぇな?!
よーし、大佐の顔にこの熱いオートメイルで触ってやる!
覚悟しやがれ!」
エドはソファーから立ち上がり、ロイに飛び掛かるが、ロイの方は相手にしてもらえない子供がちょっかいをかけにきたと思うくらいで書類をさばくのを止めもしない。
露出したエドのオートメイルがロイのデコに迫る!
「全く。君もじゃれていないで少しは手伝い…」
…じゅんっ
「熱っっ!!?」
ロイが思わず悲鳴をあげてのけぞる。
エドはロイにフェイスハガーをかましながら、ロイを真正面からにらみつけた。
「これでわかっただろ!
めちゃくちゃ熱いんだからなっ!」
「いやしかし!
いきなり火掻き棒のようなオートメイルで、じゅんっはないだろうが!
とゆーか、いくらなんでも熱すぎであろう!!?」
「いつもこんなもんだこのやろー!」
「…………大変なのだな」
ロイは赤いあとがついた顔で同情すると、暑さで涙目のエドをなでた。
とゆーわけで、エドの今日のおやつはロイが錬成してくれた氷で作ったでっかいかき氷であった。
END
熱い日には冷たいものが欲しくなるという話