鋼の錬金術師(短編)
朝日の中の小事件
多忙を極める司令官、ロイ・マスタングは、その日東方司令部の司令官用仮眠室で目覚めた。
昨日の夜遅く、事件が一つ解決したため、仮眠室に泊まることになってしまったのだ。
それは、別に問題はない。
ロイにとっては、いつものことだ。
しかし、今のロイには、又別の問題が目の前に横たわっていた。
目を覚ましたロイの眼前に、もう一人横になっている人物がいたのだ。
昨日、へろへろになって床についた時は、確かに一人で普通に寝たはずなのに。
・・・・・・なんで、私はホークアイ中尉と、一緒に寝てるんだ?!
経緯はなんであれ、美女が一緒に寝てくれているのに、気が付かずのうのうと惰眠をむさぼってしまった自分に腹がたった。
・・・男としてどうなんだ!!私!!
・・・こんなおいしいシュチュエーションに何もなかったとか!
むしろ、泣きたくなった。
あと、なんだか解らないが、肘が痛い。
ベッドから起きることもできずに悶々としていると、リザの瞳がゆっくりと開いた。
ロイと目があったリザは、ふっとロイにほほえみかけ・・・・・
「?!」
びっくりした顔になり、がばっと起き上がった。
「お、おはよう、中尉・・・・」
ロイも、ぎくしゃくしながらベッドの上に起き上がる。
リザは真っ赤になった顔を両手でおおい、ロイから隠しながら挨拶をかえした。
「お、おは、おはようござい・・・ます・・・・・・。」
リザはきちんと黒いハイネックのアンダーウェアを着ていたし、ロイもワイシャツのままの姿で、本当に何も無かったようだ。
ロイは安心と寂しさを半々ずつ感じた。
とりあえず、気をとりなおし、なぜこのような状況になったのかリザに訪ねてみることにする。
ロイ自身にはまったく覚えがない以上、リザの方にこうなった理由があるにちがいない。
と、思いたい。
「中尉・・・」
「申し訳ありませんでした、し、失礼します!」
慌てて立ち上がろうとしたリザを、ロイは腕を掴んで止めた。
「上司のベッドに一緒に寝ていたこの状況の説明はなしなのかね?」
「う・・・」
真っ赤になったリザは、ロイから視線を背けた。
「大佐のベッドで寝てしまった事については、大変失礼しました。
ですが、どうしてかと言われますと・・・、その・・・・大佐の尊厳を尊重して、申し上げることはできません。」
「・・・・解せんな。
なぜ私の尊厳なんて話しが出てくるのだ?
見たところ、・・・・我々の間で互いの尊厳をぶちこわすような行為が行われたようには思えないのだが。」
「そういった事実はございません。」
きっぱり言われて、そちらの方がロイの自尊心がちょっぴり傷ついた。
しかし、なら最悪のケースは無いわけで、これ以上に尊厳云々に関わるような事がロイには思いつかなかった。
「べつに、どんな内容だったからと言って怒らないから、理由を教えてくれないだろうか。
せっかくさわやかに起きたのに、このままでは気になって仕事が手につかないよ。
それとも、君個人の、かわいい理由だとか?」
リザはじと目でロイを見返した。
残念ながら、違うらしい。
・・・まあ、そんな理由だったら私の尊厳は傷つかないよな。
「じゃあ、何だというのだい?」
リザはまだ赤みが差した顔でロイを見る。
「それが・・・・、
昨日の深夜、事件が解決して、大佐が仮眠室でお休みになった後なのですが・・・。」
うんうんとロイが相づちをうつ。
「その・・・・大佐がお休みに成られているはずの仮眠室から、すごい音が・・・。」
・・・・・・・。
「は?
す、すごい音?」
「はい。
その場にいたのは、最後まで残って事後処理をしていた私だけでしたので。
大佐の身になにか起きたのかと、失礼させていただいて仮眠室を覗いたのですが・・・。
その・・・、
大佐がベッドの下に落ちたまま眠っておりまして・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「たぶん、
寝返りかなにかの拍子に落下したものと思われます。」
たしかに、それは恥ずかしい。
しかもそれを女性に見られたというのが、追い打ちをかけて恥ずかしい。
「そ、そうか・・・、その・・・情けないところを見せてしまったようだな・・・。」
・・・通りで、肘が痛いと思ったが、落ちたときに強打したのだな・・・。
・・・たしかにあざが残るほどの勢いで落ちたとなれば、音もひどかろう・・・。
・・・ううううぅ、恥ずかしい!
多忙を極める司令官、ロイ・マスタングは、その日東方司令部の司令官用仮眠室で目覚めた。
昨日の夜遅く、事件が一つ解決したため、仮眠室に泊まることになってしまったのだ。
それは、別に問題はない。
ロイにとっては、いつものことだ。
しかし、今のロイには、又別の問題が目の前に横たわっていた。
目を覚ましたロイの眼前に、もう一人横になっている人物がいたのだ。
昨日、へろへろになって床についた時は、確かに一人で普通に寝たはずなのに。
・・・・・・なんで、私はホークアイ中尉と、一緒に寝てるんだ?!
経緯はなんであれ、美女が一緒に寝てくれているのに、気が付かずのうのうと惰眠をむさぼってしまった自分に腹がたった。
・・・男としてどうなんだ!!私!!
・・・こんなおいしいシュチュエーションに何もなかったとか!
むしろ、泣きたくなった。
あと、なんだか解らないが、肘が痛い。
ベッドから起きることもできずに悶々としていると、リザの瞳がゆっくりと開いた。
ロイと目があったリザは、ふっとロイにほほえみかけ・・・・・
「?!」
びっくりした顔になり、がばっと起き上がった。
「お、おはよう、中尉・・・・」
ロイも、ぎくしゃくしながらベッドの上に起き上がる。
リザは真っ赤になった顔を両手でおおい、ロイから隠しながら挨拶をかえした。
「お、おは、おはようござい・・・ます・・・・・・。」
リザはきちんと黒いハイネックのアンダーウェアを着ていたし、ロイもワイシャツのままの姿で、本当に何も無かったようだ。
ロイは安心と寂しさを半々ずつ感じた。
とりあえず、気をとりなおし、なぜこのような状況になったのかリザに訪ねてみることにする。
ロイ自身にはまったく覚えがない以上、リザの方にこうなった理由があるにちがいない。
と、思いたい。
「中尉・・・」
「申し訳ありませんでした、し、失礼します!」
慌てて立ち上がろうとしたリザを、ロイは腕を掴んで止めた。
「上司のベッドに一緒に寝ていたこの状況の説明はなしなのかね?」
「う・・・」
真っ赤になったリザは、ロイから視線を背けた。
「大佐のベッドで寝てしまった事については、大変失礼しました。
ですが、どうしてかと言われますと・・・、その・・・・大佐の尊厳を尊重して、申し上げることはできません。」
「・・・・解せんな。
なぜ私の尊厳なんて話しが出てくるのだ?
見たところ、・・・・我々の間で互いの尊厳をぶちこわすような行為が行われたようには思えないのだが。」
「そういった事実はございません。」
きっぱり言われて、そちらの方がロイの自尊心がちょっぴり傷ついた。
しかし、なら最悪のケースは無いわけで、これ以上に尊厳云々に関わるような事がロイには思いつかなかった。
「べつに、どんな内容だったからと言って怒らないから、理由を教えてくれないだろうか。
せっかくさわやかに起きたのに、このままでは気になって仕事が手につかないよ。
それとも、君個人の、かわいい理由だとか?」
リザはじと目でロイを見返した。
残念ながら、違うらしい。
・・・まあ、そんな理由だったら私の尊厳は傷つかないよな。
「じゃあ、何だというのだい?」
リザはまだ赤みが差した顔でロイを見る。
「それが・・・・、
昨日の深夜、事件が解決して、大佐が仮眠室でお休みになった後なのですが・・・。」
うんうんとロイが相づちをうつ。
「その・・・・大佐がお休みに成られているはずの仮眠室から、すごい音が・・・。」
・・・・・・・。
「は?
す、すごい音?」
「はい。
その場にいたのは、最後まで残って事後処理をしていた私だけでしたので。
大佐の身になにか起きたのかと、失礼させていただいて仮眠室を覗いたのですが・・・。
その・・・、
大佐がベッドの下に落ちたまま眠っておりまして・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「たぶん、
寝返りかなにかの拍子に落下したものと思われます。」
たしかに、それは恥ずかしい。
しかもそれを女性に見られたというのが、追い打ちをかけて恥ずかしい。
「そ、そうか・・・、その・・・情けないところを見せてしまったようだな・・・。」
・・・通りで、肘が痛いと思ったが、落ちたときに強打したのだな・・・。
・・・たしかにあざが残るほどの勢いで落ちたとなれば、音もひどかろう・・・。
・・・ううううぅ、恥ずかしい!