鋼の錬金術師(短編)
「あー、なんか腹空いたなぁ。
大佐ぁ、なんかお菓子とかー、おやつないの?」
エドは執務室の書棚で探し物をしていたロイに声をかけた。
ロイは忙しさで、しかめっつらになりながら振り向く。
「君ね、軍部に菓子なんぞ…。
いや、甘いものならたしかカルピスがあったな。
それでいいなら出してやれるぞ。」
エドの顔がぱっと明るくなった。
「ホントか!
欲しい欲しい!」
「では出してやろう、ちょっと待ちたまえ。」
しばらくして、ロイが給湯室から、白い液体がなみなみと入ったコップを持ってきてくれた。
「こぼすなよ。」
と、言いながらソファで待っていたエドの前に置く。
エドはすぐに飛び付いた。
「ワーイ、カルピス!
サンキュー大佐、いただきまーす!」
にこやかなエドが勢いよくコップを仰いぐ。
そして…
「ごぶはぁっっっ!」
吹いた。
「汚っ!
って、大丈夫か?鋼の!」
ロイがあわててエドを見る。
エドは涙目でロイを睨んでいた。
「大佐の馬鹿野郎!
これ原液じゃんっっ!」
一方のロイはきょとんとして。
「何?
カルピスは薄めるものなのか!?」
「そこからかっ!?
嫌がらせでもなんでもなく知らなかった系かぁぁぁあっ!?」
「そうか!どうりで甘ったるくて飲めないと思った!」
「おぉぉおい!?」
合点したように手を打つロイと、カルピス原液350ccを持ったエドに、午後の日差しと部下達の何とも言えない視線が注がれていた。
東方司令部は今日も平和である。
End