鋼の錬金術師(短編)
「兄さんの髪って、本当綺麗だよねぇ」
アルは椅子に座った兄の髪を、鎧の手で器用に櫛ですいていた。
「あん?そうかぁ?
アルだって同じような髪じゃないか。
いや、アルのほうが綺麗な色だったな。
綺麗な明るい琥珀色でさー」
アルは兄の言い方に少し笑った。
「うーん、どうだったかなぁ。
なんか自分の髪の色なんて普段見えないし、忘れちゃったなぁ。
でも、少なくとも、兄さんの表現は過大評価だと思うよ。」
「えー?
んなことねぇよ!
スゲー綺麗だったもん!
絶対、過大評価なんかしてねーって!」
アルは振り向こうとするエドを宥めた。
「兄さん、いきなり振り向くとこんがらがっちゃうよ?」
エドはまだ納得していない憮然とした様子だったが、振り向くことはなく、おとなしくなった。
「だってー。
アルの方が絶対綺麗だったもん」
まだぶつぶつ言っいている。
「はいはい、ありがとう兄さん」
アルは言いながら、櫛をエドの髪に滑らせる。
滑らかな絹糸のような、ひっかかることがない髪。
触ることができないアルにもわかるほどのツヤがある。
これで手入れらしいことはしていないのだから、世の女性は羨むばかりだろう。
アルは、この髪を本心から美しいと思う。
ー僕の硬い髪が琥珀なら、兄さんの髪は太陽の光だよ。
そしてその髪を今自分の好きにしている。
この贅沢。
「アルー」
「ん。なぁに?」
「はやく元に戻ろうな、そんでアルの方が髪綺麗なの比べて見せてやる。」
本当に僕は…
「ありがとう、兄さん」
この兄が
…大好きだ
End
拍手再録です。
アルは椅子に座った兄の髪を、鎧の手で器用に櫛ですいていた。
「あん?そうかぁ?
アルだって同じような髪じゃないか。
いや、アルのほうが綺麗な色だったな。
綺麗な明るい琥珀色でさー」
アルは兄の言い方に少し笑った。
「うーん、どうだったかなぁ。
なんか自分の髪の色なんて普段見えないし、忘れちゃったなぁ。
でも、少なくとも、兄さんの表現は過大評価だと思うよ。」
「えー?
んなことねぇよ!
スゲー綺麗だったもん!
絶対、過大評価なんかしてねーって!」
アルは振り向こうとするエドを宥めた。
「兄さん、いきなり振り向くとこんがらがっちゃうよ?」
エドはまだ納得していない憮然とした様子だったが、振り向くことはなく、おとなしくなった。
「だってー。
アルの方が絶対綺麗だったもん」
まだぶつぶつ言っいている。
「はいはい、ありがとう兄さん」
アルは言いながら、櫛をエドの髪に滑らせる。
滑らかな絹糸のような、ひっかかることがない髪。
触ることができないアルにもわかるほどのツヤがある。
これで手入れらしいことはしていないのだから、世の女性は羨むばかりだろう。
アルは、この髪を本心から美しいと思う。
ー僕の硬い髪が琥珀なら、兄さんの髪は太陽の光だよ。
そしてその髪を今自分の好きにしている。
この贅沢。
「アルー」
「ん。なぁに?」
「はやく元に戻ろうな、そんでアルの方が髪綺麗なの比べて見せてやる。」
本当に僕は…
「ありがとう、兄さん」
この兄が
…大好きだ
End
拍手再録です。