蜘蛛女の怪
第四話
夜の博物館というのは、非常に静かで、神秘的で、不気味である。
約束通り、七時に集合した三人は、門のところで侵入者がいないように番をしている番兵に、ヒューズがとってきた許可証を見せ、堂々と博物館の敷地内に足を踏み入れた。
庭を巡回している軍人や、館内を巡回している軍人のライトが、暗闇を切り裂いてあたりを不規則に照らす。
入り口を見張っている番兵に同じように許可証を見せ、三人は博物館の建物内に足を踏み入れた。
「思ったより、ものものしい警備だな。」
「もともと、国が管理している施設だし、被害者はでているし、セントラル軍は蜘蛛女にこけにされたと思っているんだろう。
力みもするさ。」
ロイは少しあきれたようにいった。
「中を警備している軍人たちには、俺たちが許可をとって調べに来たことは通達されてるはずだ。
エドとロイちゃんには、軍法会議所のヒューズから正式に協力要請だしたから、心配しなくて大丈夫。」
警備室に行き、状況を聞いてから、三人は巡回に加わった。
所々で行き会う軍人たちが、三人に敬礼をしてくれた。
「さて、これだけ物々しい警備で、蜘蛛女は現れるのかが、甚だ心配なのだが。」
「それは心配ない。
蜘蛛女のやつ、先週は週3のペースで現れたからな。
展示物を気にして、派手なことできないのをいいことに、したい放題なんだよ。」
「こけにされていると思っているのではなく、実際にこけにされていたのか。
出現頻度がそんなに多いとは。」
三人は二階の回廊を進み、ロイの提案でベランダに出た。
「二階から侵入するとしたら、ベランダに隠れながらこっそり鍵を開けているということも考えられるな。
鍵に細工をしていないか確認しよう。
軍人の点検をかいくぐるタイミングで仕掛けてあるかもしれない。」
エドも頷いた。
「確かに、一般人が見たらただの模様に見えるけど、それが錬成陣になってることもあるかもしれない。
しらべてみようぜ。」
エドとロイが細工がないか調べている間、ヒューズは蜘蛛女の襲撃に備えて周りを見張っていた。
結局、二人が調べたベランダに面した鍵には、錬金術による細工はされていなかった。
「特に何もなかったな。」
ヒューズも少しほっとしたように言った。
調べている間に襲撃されないか、はらはらしていたのだろう。
三人がベランダに出た出口から、中に入ろうとしたとき、ドアノブを回しかけたロイがはっとした表情になった。
「ヒューズ、鋼の、気がついたか?
周りの様子がおかしい。」
ヒューズとエドはは一瞬怪訝な顔をしたが、すぐにロイがいわんとしているところが理解できたのだろう、すぐに厳しい顔になった。
「外の巡回の様子には変りはないようだが、室内の軍人が巡回している気配が消えている。」
あたりを見渡しても、室内から漏れてきていた巡回の明かりがないことに気がつく。
「いったい、俺たちがベランダを調べている間に、何があったっていうんだ?」
エドも緊張しながら、周りを見渡した。
「中の異常に、外の奴らは気がついていないみたいだな。」
ベランダからは、外を巡回する軍人たちが何人も見えた。
「外のものたちに伝えて騒ぎを起こせば、蜘蛛女が逃げてしまうだろう。
仕方がない、ひとまず中の軍人たちがどうなってしまったのかを確認しよう。」
ロイが発火布の手袋をはめ、ヒューズが銃を懐から取り出した。エドはいつでも錬成できるように構える。
ロイが慎重にベランダから室内に入る扉を開けた。
第五話
まず最初に室内に入ったのはロイだったが、何かに気がついたのか、すぐにベランダに身を引いた。
「どうした、ロイ」
「中で催眠ガスのかすかな臭いがした。
中に充満しているに違いない。今、錬成してガスを取り除く。
二人とも扉から離れていろ。」
ロイはいうと、外で大きく息を吸い、中にさっと入っていた。
中でかすかな錬成光がはじけ、空中を飛び回った。
窓から中をうかがっていたエドは、ロイが行った気体錬成がうまくいったことを知った。
「二人とも、もう大丈夫だ。
だが、先ほどのガスを吸い込んだ軍人はしばらくは目覚めないだろう。」
ヒューズとエドはほっとしながら室内に入った。
たしかに、軍人たちがばたばたと廊下に倒れており、意識を失っているようだ。
「蜘蛛女のせいだろうな。」
ヒューズがあたりを警戒しながら言った。
「間違いないだろう。ついに何か盗みを働く気なのかもしれない。
あたりに最新の注意を払いながら捜索しよう。
やつは壁を上ったり、天井に張り付いたりできるらしいからな。
頭上から襲われたら、たまったものではない。」
ロイが言い、二人がうなずく。
三人は展示スペース内を警戒しながら進んだ。
第六話
息を潜め、気配を消しながら、博物館内を捜索していた三人の耳に、何かを動かすような音が聞こえた。
重たいものを、そっと動かしているようだ。
「そんなに遠くないな。
ヒューズ、ここからだとどこだと思う?」
ヒューズは展示品を見渡して、今、どこにいるのかを確認した。
そこは、昼間に来たときに入った、国の歴史の展示室であった。
「そうだな、かなり重そうな音だ。
隣の彫刻の部屋が怪しそうだな。いってみよう。慎重にな。」
三人は、慎重に部屋を横切り、隣の彫刻物が並んだ部屋をのぞいた。
エドは、その様子を見て、思わず悲鳴を上げそうになった。
天井から蜘蛛の巣のようなものに絡まってぶら下がる、大きな彫刻品(昼間、目についた筋骨隆々の彫刻だ)のすぐそばに、天井に張り付いた人影があった。
天井の暗がりのなかで、その爛々と光る赤い目だけが、浮いているように見える。
目をこらして見てみれば、ちゃんと体がついていた。
胸の豊かな膨らみと、くびれた腰、長く伸びた手足が、逆さまの状態で天井に張り付いている。
「よし、とにかくあの女を引きづり落としてみよう。
襲いかかってきたら戦えばいいし、捕まえられたら様子をみるようにしよう。」
「ロイ、俺はここの反対側の隣展示室との入り口のほうに回り込む。この彫刻が飾ってある部屋で方をつけよう。」
「わかった。私は鋼のとここで五分待つ。
蜘蛛女が行動し始めたらその限りではないが、五分後に蜘蛛女に攻撃を仕掛ける。
おまえは五分の間にあちらに回り込んで、蜘蛛女があちらの展示室に逃げることを防いでくれ。」
「ヒューズ中佐も気をつけて。」
ヒューズはそっと足音をたてないようにしながら、歴史の展示室から出て行った。
「さて、蜘蛛女が逃げないように見張っていなくては。」
ロイとエドは、部屋の入り口から、天井に張り付いて蜘蛛女を見た。
蜘蛛女は大きな彫刻をとてもゆっくりと動かしているところだった。
この分ならヒューズがあちら側の扉に到着するまで、蜘蛛女がすぐに逃げるということもあまりなさそうだ。
「しかし、本当に天井に張り付いているとは、思っていなかったな。
てっきり、何かしらの装置でもあるのかと思っていたのだが。」
ロイが天井の蜘蛛女を見上げて言う。
蜘蛛女の方はこちらに気がついていないらしく、目の前でぶら下がる彫刻を眺めているようだ。
ロイは懐から銀時計を取り出し、音を立てないように開いた。
「あと四分か。ヒューズが間に合うといいのだがな。」
ロイは緊張したようにいった。
そのときである、蜘蛛女が突然顔を上げ、二人の方を見た。
そして慌てたように天井を素早く移動し始める。
「気がつかれたか!」
エドはもう隠れていることはないと、展示室の中に飛び込み、蜘蛛女に向けて怒鳴った。
「待て!蜘蛛女!この博物館は囲まれてるんだぞ!どこにも逃げられない!」
しかし、蜘蛛女はエドの警告を無視し、するすると窓の方に移動していく。
「仕方がない、力ずくで止めてやる!」
ロイは発火布の手袋をはめた両手を、蜘蛛女に向かって伸ばした。
するととたんに錬成光が空間に広がり、蜘蛛女を取り囲んだ。
「うぐ!!」
蜘蛛女は鈍い悲鳴を上げると、天井でぐらりと揺れ、バランスを保てなくなったのか、天井から転げ落ちた。
「鋼の、受け止めてくれ!」
「了解!」
エドは窓辺に下がっているカーテンを錬成し、蜘蛛女を受け止めるためのクッションを作り出し、落下地点で構えた。
そのまま落下してくると思っていたのだが、蜘蛛女は空中で一回転すると、天井に向かって手から糸を出した。
エドが錬成したクッションに落ちることはなく、蜘蛛女は天井に伸ばした糸を支点にし、振り子の要領で壁まで逃げた。
「うわ、アクロバティック!」
「なかなか味なまねを!」
エドとロイは、壁にまで逃げた蜘蛛女を追って、彫刻の間を走った。
「これならどうだ!」
ロイは、何度か指を打ち鳴らして火花を散らす。
いくつも舞った火花は、空中を駆け抜けて蜘蛛女に接近し、進行方向をふさぐように小規模な爆発をいくつも起こした。
慌てた蜘蛛女は壁を離れて着地し、もう一つの入り口に向かって走る。
五分後にヒューズが待機していると約束した方の入り口の方へ。
「ヒューズ中佐!いるか!そっちに逃げる!捕まえろ!」
エドが彫刻の間を走りながら叫んだ時、蜘蛛女がちょうどその出口をくぐったところであった。
つづく
夜の博物館というのは、非常に静かで、神秘的で、不気味である。
約束通り、七時に集合した三人は、門のところで侵入者がいないように番をしている番兵に、ヒューズがとってきた許可証を見せ、堂々と博物館の敷地内に足を踏み入れた。
庭を巡回している軍人や、館内を巡回している軍人のライトが、暗闇を切り裂いてあたりを不規則に照らす。
入り口を見張っている番兵に同じように許可証を見せ、三人は博物館の建物内に足を踏み入れた。
「思ったより、ものものしい警備だな。」
「もともと、国が管理している施設だし、被害者はでているし、セントラル軍は蜘蛛女にこけにされたと思っているんだろう。
力みもするさ。」
ロイは少しあきれたようにいった。
「中を警備している軍人たちには、俺たちが許可をとって調べに来たことは通達されてるはずだ。
エドとロイちゃんには、軍法会議所のヒューズから正式に協力要請だしたから、心配しなくて大丈夫。」
警備室に行き、状況を聞いてから、三人は巡回に加わった。
所々で行き会う軍人たちが、三人に敬礼をしてくれた。
「さて、これだけ物々しい警備で、蜘蛛女は現れるのかが、甚だ心配なのだが。」
「それは心配ない。
蜘蛛女のやつ、先週は週3のペースで現れたからな。
展示物を気にして、派手なことできないのをいいことに、したい放題なんだよ。」
「こけにされていると思っているのではなく、実際にこけにされていたのか。
出現頻度がそんなに多いとは。」
三人は二階の回廊を進み、ロイの提案でベランダに出た。
「二階から侵入するとしたら、ベランダに隠れながらこっそり鍵を開けているということも考えられるな。
鍵に細工をしていないか確認しよう。
軍人の点検をかいくぐるタイミングで仕掛けてあるかもしれない。」
エドも頷いた。
「確かに、一般人が見たらただの模様に見えるけど、それが錬成陣になってることもあるかもしれない。
しらべてみようぜ。」
エドとロイが細工がないか調べている間、ヒューズは蜘蛛女の襲撃に備えて周りを見張っていた。
結局、二人が調べたベランダに面した鍵には、錬金術による細工はされていなかった。
「特に何もなかったな。」
ヒューズも少しほっとしたように言った。
調べている間に襲撃されないか、はらはらしていたのだろう。
三人がベランダに出た出口から、中に入ろうとしたとき、ドアノブを回しかけたロイがはっとした表情になった。
「ヒューズ、鋼の、気がついたか?
周りの様子がおかしい。」
ヒューズとエドはは一瞬怪訝な顔をしたが、すぐにロイがいわんとしているところが理解できたのだろう、すぐに厳しい顔になった。
「外の巡回の様子には変りはないようだが、室内の軍人が巡回している気配が消えている。」
あたりを見渡しても、室内から漏れてきていた巡回の明かりがないことに気がつく。
「いったい、俺たちがベランダを調べている間に、何があったっていうんだ?」
エドも緊張しながら、周りを見渡した。
「中の異常に、外の奴らは気がついていないみたいだな。」
ベランダからは、外を巡回する軍人たちが何人も見えた。
「外のものたちに伝えて騒ぎを起こせば、蜘蛛女が逃げてしまうだろう。
仕方がない、ひとまず中の軍人たちがどうなってしまったのかを確認しよう。」
ロイが発火布の手袋をはめ、ヒューズが銃を懐から取り出した。エドはいつでも錬成できるように構える。
ロイが慎重にベランダから室内に入る扉を開けた。
第五話
まず最初に室内に入ったのはロイだったが、何かに気がついたのか、すぐにベランダに身を引いた。
「どうした、ロイ」
「中で催眠ガスのかすかな臭いがした。
中に充満しているに違いない。今、錬成してガスを取り除く。
二人とも扉から離れていろ。」
ロイはいうと、外で大きく息を吸い、中にさっと入っていた。
中でかすかな錬成光がはじけ、空中を飛び回った。
窓から中をうかがっていたエドは、ロイが行った気体錬成がうまくいったことを知った。
「二人とも、もう大丈夫だ。
だが、先ほどのガスを吸い込んだ軍人はしばらくは目覚めないだろう。」
ヒューズとエドはほっとしながら室内に入った。
たしかに、軍人たちがばたばたと廊下に倒れており、意識を失っているようだ。
「蜘蛛女のせいだろうな。」
ヒューズがあたりを警戒しながら言った。
「間違いないだろう。ついに何か盗みを働く気なのかもしれない。
あたりに最新の注意を払いながら捜索しよう。
やつは壁を上ったり、天井に張り付いたりできるらしいからな。
頭上から襲われたら、たまったものではない。」
ロイが言い、二人がうなずく。
三人は展示スペース内を警戒しながら進んだ。
第六話
息を潜め、気配を消しながら、博物館内を捜索していた三人の耳に、何かを動かすような音が聞こえた。
重たいものを、そっと動かしているようだ。
「そんなに遠くないな。
ヒューズ、ここからだとどこだと思う?」
ヒューズは展示品を見渡して、今、どこにいるのかを確認した。
そこは、昼間に来たときに入った、国の歴史の展示室であった。
「そうだな、かなり重そうな音だ。
隣の彫刻の部屋が怪しそうだな。いってみよう。慎重にな。」
三人は、慎重に部屋を横切り、隣の彫刻物が並んだ部屋をのぞいた。
エドは、その様子を見て、思わず悲鳴を上げそうになった。
天井から蜘蛛の巣のようなものに絡まってぶら下がる、大きな彫刻品(昼間、目についた筋骨隆々の彫刻だ)のすぐそばに、天井に張り付いた人影があった。
天井の暗がりのなかで、その爛々と光る赤い目だけが、浮いているように見える。
目をこらして見てみれば、ちゃんと体がついていた。
胸の豊かな膨らみと、くびれた腰、長く伸びた手足が、逆さまの状態で天井に張り付いている。
「よし、とにかくあの女を引きづり落としてみよう。
襲いかかってきたら戦えばいいし、捕まえられたら様子をみるようにしよう。」
「ロイ、俺はここの反対側の隣展示室との入り口のほうに回り込む。この彫刻が飾ってある部屋で方をつけよう。」
「わかった。私は鋼のとここで五分待つ。
蜘蛛女が行動し始めたらその限りではないが、五分後に蜘蛛女に攻撃を仕掛ける。
おまえは五分の間にあちらに回り込んで、蜘蛛女があちらの展示室に逃げることを防いでくれ。」
「ヒューズ中佐も気をつけて。」
ヒューズはそっと足音をたてないようにしながら、歴史の展示室から出て行った。
「さて、蜘蛛女が逃げないように見張っていなくては。」
ロイとエドは、部屋の入り口から、天井に張り付いて蜘蛛女を見た。
蜘蛛女は大きな彫刻をとてもゆっくりと動かしているところだった。
この分ならヒューズがあちら側の扉に到着するまで、蜘蛛女がすぐに逃げるということもあまりなさそうだ。
「しかし、本当に天井に張り付いているとは、思っていなかったな。
てっきり、何かしらの装置でもあるのかと思っていたのだが。」
ロイが天井の蜘蛛女を見上げて言う。
蜘蛛女の方はこちらに気がついていないらしく、目の前でぶら下がる彫刻を眺めているようだ。
ロイは懐から銀時計を取り出し、音を立てないように開いた。
「あと四分か。ヒューズが間に合うといいのだがな。」
ロイは緊張したようにいった。
そのときである、蜘蛛女が突然顔を上げ、二人の方を見た。
そして慌てたように天井を素早く移動し始める。
「気がつかれたか!」
エドはもう隠れていることはないと、展示室の中に飛び込み、蜘蛛女に向けて怒鳴った。
「待て!蜘蛛女!この博物館は囲まれてるんだぞ!どこにも逃げられない!」
しかし、蜘蛛女はエドの警告を無視し、するすると窓の方に移動していく。
「仕方がない、力ずくで止めてやる!」
ロイは発火布の手袋をはめた両手を、蜘蛛女に向かって伸ばした。
するととたんに錬成光が空間に広がり、蜘蛛女を取り囲んだ。
「うぐ!!」
蜘蛛女は鈍い悲鳴を上げると、天井でぐらりと揺れ、バランスを保てなくなったのか、天井から転げ落ちた。
「鋼の、受け止めてくれ!」
「了解!」
エドは窓辺に下がっているカーテンを錬成し、蜘蛛女を受け止めるためのクッションを作り出し、落下地点で構えた。
そのまま落下してくると思っていたのだが、蜘蛛女は空中で一回転すると、天井に向かって手から糸を出した。
エドが錬成したクッションに落ちることはなく、蜘蛛女は天井に伸ばした糸を支点にし、振り子の要領で壁まで逃げた。
「うわ、アクロバティック!」
「なかなか味なまねを!」
エドとロイは、壁にまで逃げた蜘蛛女を追って、彫刻の間を走った。
「これならどうだ!」
ロイは、何度か指を打ち鳴らして火花を散らす。
いくつも舞った火花は、空中を駆け抜けて蜘蛛女に接近し、進行方向をふさぐように小規模な爆発をいくつも起こした。
慌てた蜘蛛女は壁を離れて着地し、もう一つの入り口に向かって走る。
五分後にヒューズが待機していると約束した方の入り口の方へ。
「ヒューズ中佐!いるか!そっちに逃げる!捕まえろ!」
エドが彫刻の間を走りながら叫んだ時、蜘蛛女がちょうどその出口をくぐったところであった。
つづく