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クリムゾン†レーキ


…21、真実の道




たどり着いた結論に、エドはただならぬ確信を覚えた。

「それが本当なら、ヒントの名前の人も亡くなってるよ?
じゃあ、それだったら大佐は僕達に何を探らせたかったっていうの?」

アルの言葉に、エドは起き上がって腕を組んだ。

「うーん…。
でも、間違いないと思うんだ。

作戦中にハボック少尉に聞いた情報もあるんだけどな。

まず、あのテロたちのボス格が三人いるらしいんだ、そんで、軍に対してかなり疑心暗鬼を持っていた。

次に、要求が政治的な話じゃなくて、ただ何とか外国まで逃げて生き延びようとしていた。

なにより、あの大佐が問答無用の射殺許可をだしたこと。
実際ボス格は全員大佐自身に殺された。

…生き残ったのは、俺達が1番はじめに捕まえたやつらだけだ。

最後に、もともと大佐が関係あると言ってたんだ。

ひっくるめて考えてみて、
俺は間違いないと思う。」

「とすると、行方がわからないのは、カルマンドロさんのみ。
生死すらわからない…。」

エドは、唇を尖らせる。

「そうなんだよな。
とゆーか、もう殺されてないとも限らねーしな。」

うーん、と二人は黙りこんだ。

「…そもそも、だ。」

しばらくしてから、エドが再び口を開いた。

「なんでウィルファットの旧家が襲われてんだろうな?
旧家が軍に逆襲するならまだしも。

こんな田舎の…でかいっつってもたかが知れてる街の名家だぜ?

俺には、根絶やしみたいにされるほど、家柄に力があるようには思えねーんだよな。
セントラルの、それこそアームストロング家みたいなとこからみたらだけどさ。」

アルも小さく頷く。

「確かに。
でもなんだろう?
街の実権はもう手放してるから、関係なさそうだし。

そういえばなんでいなくなる前の大佐は、名家ばっかり襲われてるってわかったのかな?
あの時は、被害者の身元がわからなかったのに。」

「そりゃ、あれだろ?
エルビウムさんになんかヒント聞いたからじゃねーか?
あーくそ!
どんなヒントだったんだ?聞いとけばよかったなぁ!」

エドが悔しそうに、がりがり頭をかいた。

「ちょっと待ってよ兄さん。」

アルが顎に手を当てながら、何かを思いだそうと、頭を捻る。

「エルビウムさんに話を聞きに行ってわかったとしたら、確かあの時は…」

エドが言葉を引き継ぐ。

「俺達二人が護衛に残されて、病室の前に立ってたんだ。
そんで中には、大佐と…」

『ホークアイ中尉が!』

二人は互いを指さして、声がピッタリ合わさった。

「そうだ!
あの時はホークアイ中尉が一緒にきいてるはずだ!」
エドがアルを見つめて言う。
「何かのヒントになるかも!」

エドはさっそく財布を掴むと、ドアに駆け寄る。

「まだ司令部にいるかもしれない。
ホークアイ中尉に電話してみようぜ、アル!」

「兄さん、靴、靴!」

さっさと行こうとするエドに、アルはあわててブーツを差し出した。


    ☆☆☆☆

エドとアルはさっそくフロントで電話を借りると、東方司令部に電話をかける。

電話があるブースにエドとアルがみっちり押し入っている状態だ。

軍の電話交換手に認識コードを伝え、しばらく待つと、フュリーの声が電話口から聞こえてきた。

『こちら東方司令部、フュリー曹長です。
エドワード君ですか?』

「あ、フュリー曹長、うん。
こちら、エドワード・エルリックだ。
つながってよかった。
ホークアイ中尉に聞きたいことがあるんだ。
中尉いる?」

『はい、少々お待ち下さい』

切り替わる音がして、ホークアイ中尉の声が聞こえた。

『もしもし、エドワード君?
ホークアイよ』

「中尉!
よかった、ちょっと聞きたい事があるんだけど…
大佐は?」

声をついつい潜めながら、エドは尋ねる。

『大丈夫よ。
今は会議中だから。
それよりも、私に尋ねたいことがあるんですって?
何かしら?
答えられる事ならいいのだけれど。』

今は会議中だとしても、いつ戻ってくるかわからない。
エドはすぐに質問することにした。

「ウィルファットの事件の時、大佐と中尉だけがエルビウムって人の話を病室に聞きに行ったでしょ?
その時、どんな話を聞いたか教えて欲しいんだ。」

    ☆☆☆★


「さっすが、あくどいよねー、グリードってば!」

太いパイプに座って、エンヴィ-がケラケラと笑った。

「そうね。
新しいグリードは、なかなか使えそうね。
もしかすると、貴方よりも、ね?
エンヴィ-。」

ラストにそう言われ、ぴたりと笑うのをやめたエンヴィは、ラストを苦々しくにらみつけた。

「しょーがないじゃん。
僕が化けてたの、ファルマン部隊で、そとの見張り役だったんだし!
いきなり一人いなくなったら、怪しまれるだろ?

それに外からとはいえ、ちゃんと見張ってたし、グリードは仕事したし、結果オーライだろー?」

むくれるエンヴィに、ラストは肩をすくめた。

「まったく、いい加減なんだから…」

ラストはため息をついたが、闇の中から響く父の声は満足気な色味を帯びていた。

「長年あった話は今回のもので終わる。
評価すべきものではあるだろう。」

エンヴィはにやっとして、ラストを見たが、

「だが、エンヴィは詰めが甘いといわれても致し方ないだろう。
以後気をつけろ」

父の一言で、直ぐさまラストに笑わい返されることになってしまった。

    ☆☆★☆

「あざ?」

『そう。
旧家の血筋に連なる人物には、死後三日間、特殊なあざができる。

そして、そのあざは呪文のようになっていて読めるらしいの。
大佐は、それが錬金術の秘密の理論だったんじゃないかとお考えだったわ。

犯人たちは、それを根絶やすために犯行を重ねているんじゃないかと。

生皮を剥ぎ取れば、身元もなかなか判別がつかないし、特殊なあざもでないから一石二鳥でしょ?』

「…なるほどなー」

かしょんっと会話を終えてエドは受話器をもどす。

「でも、今度気になるのは、そのあざの内容だよね。

あ、秘密のあざの内容を大佐は僕たちに調べさせようとしているのかも!」

エドも考え込みながら首を振る。

「いや、大佐は内容を知ってるかんじだった。

グリード大佐言ってたんだよな、君がもし私の期待以上の成果を上げたなら、君が得た情報それ自体が君への何よりの報酬になるかもしれないってさ。

聞いたときは気取った言い方だと思ったけどな。

生体錬金術師が秘密にした理論かー…」

「残したかったけど、しられたくない秘密で…。」

「死んだあとすぐに現れて、三日間だけあらわれるってんだろ?」

「それで、ちゃんと調べられたら、僕たちにも得になるかもしれない情報なんだよね。」

…。

『どー考えても、
人体錬成だよな?』




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続く
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