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【やる&やら】最凶にして最愛のただ一人の君に捧ぐ

淡雪講社に所属する編集者の比布出できない夫は、担当作家である美筆やらない夫宅へ悪漢が襲撃に来たときの怪我が原因で、強飯医院にて入院していた。

「あいででで、先生!キラナイ夫先生!痛いですって!」

先刻、やらない夫が倒れたと子どもたちが駆け込んできてくれたおかげで、手当がまにあったのだが、

その際にキル夫を自転車に乗っけて全力で美筆塾に向かったできない夫は案の定傷が開いてしまい、強飯医院の戸口付近で倒れ、怒りの形相のキラナイ夫医師に追加の手当を受ける羽目になっていた。

「たく、大怪我してるっちゅーに、チャリンコで人乗っけて全力で漕ぐなんて真似して!

案の定傷が開いて出血してるじゃないですか!

手当する医者の気にもなりなさい!

キル夫も、一緒に帰って来たくせに異常を感じなかったのか?」

キラナイ夫は止血のためにギュウギュウ包帯とガーゼで傷を締めたあと、キュッと包帯を結んだ。

ひとまず止血ができたことでキラナイ夫は安堵のため息を付き、脇で面目なさそうにしているキル夫をじろりと睨む。

「す、すみません兄さん…。

美筆先生が助かったことに油断していたようで、医院の入り口でできない夫さんが倒れるまできがつきませんでした…。」

悲しげな顔をするキル夫を見て、できない夫は慌てたように彼を弁護した。

「そ、そいつは歩いてる途中で傷が開いたこと俺が隠してたからで、べつにキル夫先生のせいでは…!」

「怪我人が怪我をかーくーすーな!!
なんのために入院してるか、理解してないようですなーーーーー?」

ゴゴゴゴと噴火する火山が背景に見えそうな勢いでキラナイ夫ができない夫に迫る。

「ああああ、も、申し訳ありません軍医殿ぉ!!」

「はぁ、俺は軍医になったことはないですけどね。
まったく、しばらく安静にしていなさい。
キル夫、彼がむちゃしないかどうか少し見張っていなさい。」

「は、はい。すみません兄さん…。」

「俺は待たせている患者を見てから病院を閉めてくるから。
キル夫はできない夫さんが落ち着いたと判断したら、手伝いに来てくれ。」

「いや、大丈夫ですよ。もう今日のうちは大人げないことはしませんから!」

「そうかね?ま、あとは若い2人に任せることにしますかね」

「ちょ…なんでそんな言い回しを!」

「はははは」

キラナイ夫はそう笑いながら、できない夫が入院している病室を出ていった。

残ったできない夫とキル夫はお互いに少し顔を見合わせると、なんとなく顔を見合わせて頬を赤らめる。

廊下に出たキラナイ夫は、ヤレヤレと言った様子でため息を付く。

「俺も誰か嫁さんを本格的に探さんとな…」


番外編その1


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