FF編 第六章
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青髪が流れるように揺れた。花織は彼の足元にあるボールへと足を伸ばす。しかし、するりと躱されてしまった、それでも負けじと切り替えしてボールを狙う。すると風丸は目にもとまらぬ速さで花織をかわしてシュートを放った。その速さはまさに風、花織はゴールを決められたにも関わらず、嬉しそうに笑って風丸の元へと歩み寄った。
「完璧だね、一郎太くん」
「ああ、花織のおかげだ」
風丸も微笑み、髪を揺らした。花織は首を横に振ったが、やはり嬉しそうで表情には笑顔を浮かべたままでいる。
「ううん、私はちょっとお手伝いしただけ。一郎太くんの努力の賜物だよ」
花織はそういってゴールへと向かい、ボールを拾い上げる。そして風丸に軽いパスを送った。
「名前は決めてるの?」
「ああ。疾風ダッシュ、にしようと思う」
多分それが一番俺らしいから、と花織にパスを送りながら風丸が笑った。
「疾風ダッシュかあ……」
花織は先ほどの風丸のドリブル、フェイントを思い出した。風のようなスピードはまさに疾風と呼ぶにふさわしい技である。花織は屈託なく風丸に笑いかけ、心の底からの言葉を風丸に投げかける。
「一郎太くんにぴったりな名前だね」
「ありがとう、花織」
再び花織から送られたパスを受け止めて風丸は花織を見つめる。花織も風丸の瞳を見つめて思った。絶対にこの技を試合で成功させたい。この技で帝国学園に一泡吹かせてほしい。
「一郎太くん。あの、この技……帝国戦までみんなに秘密にしておこう?」
「どうしてだ?」
不思議そうな顔で風丸が首を傾げる。新しい技をチームメイトに知ってもらうことで、そこから戦術を立てることができるだろう。彼はそう思ったのだ。だが花織は知っている、今の雷門には帝国のスパイがいることを。練習で披露すれば彼の技は帝国側へ一瞬で知れてしまう。花織は自分にできる範囲の中で精いっぱい足掻く。一つだけでも雷門の、彼の情報を守りたい。彼女はそう考えていた。
「切り札は、隠しておくものでしょう? それに敵を欺くにはまず味方から、なんていうもの」
どうにかしてこの技を攻めの起点にしてほしい。諭すような花織の表情に何か真剣なものを見た風丸は、少し考えたのちに彼女の言葉に頷く。
「一緒に考えてくれたお前がそういうんだ。そうするよ」