FF編 第四章
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野生中との試合は特訓の甲斐あって、イナズマ落としを壁山と豪炎寺が成功させることにより、勝利を収めた。帝国はともかく、尾刈斗、野生中と順調に勝ち進んできている。目覚ましい進歩だ。廃部寸前だったとは思えないほどの快進撃。
だからなのだろう、鬼道有人はちらりと隣に立つ影山総帥の表情を伺う。今日は御影専農へと足を運んでいた。サッカーサイボーグと呼ばれる御影専農のサッカー部員たち。
その異名は間違いではないようだ。高度な科学力を用いた雷門中学とのシミュレーションバトルを階下で彼らは行っているが、彼らのサッカーは正確で寸分の狂いもない。もちろん実力的には帝国には遠く及ばないだろうが。
「イッヒヒヒヒ……。素晴らしいでしょ総帥。我が校の誇るコンピュータシステムで管理されたサッカー選手たちは」
不気味な笑い声を漏らしながら御影専農の監督がコンピュータを操る。フィールドに掲げられた大きな得点板の上のモニターには煌々と勝率99.9%の文字が輝いている。結果は四対零、サッカーは三点取れば試合が決まるというのだから、まさに完勝と呼べるだろう。
「なるほど。プログラムデータ相手とはいえ、よく仕上がっている」
御影専農のサッカーの精度に影山はそこそこ満足しているようだ。影山の言葉に御影の監督は得意になったようで、不気味な笑い声を挟みながら説明を続ける。
「このプログラムは相手チームを完全に分析しているのですよ。……サッカーサイボーグとも呼べる彼らたちが本番でも完全な勝利をお見せするでしょう」
そのとき、影山の表情が冷たいものに変わった。
「勝利……? 雷門を潰すことなど勝利の内に入らん、ただの害虫駆除作業だ」
「お、おぉ……、失礼いたしました。もちろんです、消しゴムのかすを払うようなもので……」
突然に態度を変えた影山にオドオドとしながら御影の監督は、再びいかにサッカーサイボーグである彼らが素晴らしいかの説明を始めた。
いつもそうだ。鬼道は影山の先ほどの表情や声色を思い返しながら、階下へと視線を送る。総帥はいつも雷門の話になるといつにも増して冷酷になる。雷門を憎んでいるかのように感じさせる眼差し、言動……。雷門と試合をした時もそうだった。
どうして雷門中に執着するのだろうか、そんなことは鬼道の知る由もない、そして弱小のサッカーチームが一つ消えようがどうなろうがは鬼道には関係ない。そうすることで全国大会三連覇に一歩でも近づけるのなら、総帥に任せていて問題はないだろう。負けなければ、鬼道の悲願は達成される。勝ち続ければ、いつか鬼道の想いも成就できる日がくるのだから。