FFI編 第七章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
飛行機で数時間かけて辿り着くはライオコット島。別名サッカーアイランド。何でもこの大会の主催者がこの大会のためだけに南の島を丸ごと買い取ったらしい。本大会に出場するのは世界各地の予選を勝ち上がってきた十チームだ。
この島にはそれぞれその出場国の街並みを再現した場所があり、それぞれをエリアと呼ぶ。代表選手たちは基本的にそこにある合宿所で過ごす。例えばイナズマジャパンはジャパンエリアの「宿福」という看板の付いた老舗旅館のような合宿所で生活する。
島の中央にはセントラルパークと開会式、決勝戦が行われるタイタニックスタジアムが位置している。この会場が使われるのは決勝戦だけだ。他の試合はライオコット島を囲む五つの島、クジャク島、コンドル島、ウミヘビ島、ウミガメ島、ヤマネコ島の五つの島で予選が行われる。
今日、ライオコット島の時間で午後8時より大会開会式が執り行われる。
彼はチームメイトと共に開会式会場で入場行進が始まるのを待っていた。世界と戦えることにワクワクとしつつも己のスピードについて来られるものはいないだろうと自負している。
「はーっ! ここがタイタニックスタジアムか!」
大声が聞こえてちらりとそちらを振り返ってみる。オレンジ色のバンダナを付けた外国人。おそらくどこかの代表だろう。ユニフォームからしてキーパーだろうか。周囲に見覚えのある青いユニフォームの選手たちがいるということは、今声を上げたのはジャパンの代表のゴールキーパーか。
彼はその集団の中の青い髪の少年を見てふっと顔を顰める。
――――アイツ、どこかで見たような顔だ。
ぞろぞろとエントランスホールから選手入場口へと向かうジャパンの一行を見つめる。その男、誰に似ているのかと思えば。世界には自分とそっくりな人間が三人いるというが、それは本当なのかもしれない。そんなことを思いながらその男を凝視する。ふっと、その隣に立っている日本人女性が視界に入った。
「じゃあ、上から見てるね。一郎太くん」
青髪の男に微笑んで、少年の前をその小柄な少女は横切って行った。感じたことのない稲妻の走るような衝撃に少年は目を見開く。
振り返った時にシャンデリアの光によって艶めいた美しい黒髪。それに対して図鑑で見たハクチョウと呼ばれる鳥の羽のように白い肌。髪と同じ色の大きな瞳。あれがジャパニーズだというならば、ヤマトナデシコというのだろうか、楚々とした雰囲気を持つ顔立ち。
目が離せなくてその場を立ち去ってゆく少女を目で追いかける。美しいと思った。振り返った時に靡いた黒髪が、表情に湛えた柔らかな微笑みが。今も目に焼き付いている。
「どうした、ウィンディ」
ぽんと肩を叩かれて彼はハッと我に返る。声の主を辿れば己のチームのストライカー、ゴーシュ・フレアがいつものにやりとした表情で彼を見つめている。
「さては可愛い子でも見つけたな」
バン、と指で銃を撃つ動作をする。いつもなら、お前じゃあるまいしと笑って小突くくらいなのに、その言葉が的を射ているから笑えない。
「別に」
素っ気無くそう言って何でもないように肩を竦める。だが心の中では今真正面を過った東洋人のことを考えていた。
でも、もう会うことは無いだろう。
このライオコット島には選手だけではなく何千万人という観客が詰めかけてきている。彼女はきっとそのうちの一人だ。イナズマジャパンの関係者のようだが、ジャパンエリアと彼の国のエリアはかなり距離が離れている。
試合が始まればすぐに忘れてしまうさ。走ることより重要なことなんて、俺にはないんだから。
浅黒い肌にスカイブルーの髪にバンダナを巻いた少年、ウィンディ・ファスタはそう思いながら目を伏せた。