FFI編 第五章
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「ありがとうリカちゃん。今日は付き合ってくれて」
近くのカフェに入って飲み物を頼み、花織はリカに今日の礼を言った。リカはにこにこと笑いながらええんよと手を振る。
「ラブは大事やからな。それに花織は親友なんやから当たり前や」
リカはじっと花織を見つめる。今でこそ、こんな幸せな悩みを抱えている彼女だが、前にこうしてカフェに入って話をしたときは無理に笑顔を浮かべてみている方が多く、痛々しいほどだった。だから自分のギャグで笑ってくれたりするたびに安堵していたのを鮮明に覚えている。
「あとは、そうやなあ……。髪型変えてみるとかはどや? いっつも花織は下ろしとるかポニーテールやろ? たまにはお団子とかアップにしてみるとええんちゃう? そういうのって異性に効果的って雑誌に書いとるの読んだことあるで」
「髪型かあ……」
ミルクティーを飲みながら花織が目を伏せる。確かに思い返せば結ぶといえば彼と同じにしたくてポニーテールばかりだ。お揃いというのも捨てがたいけれど時々はリカの言う通り変えてみるのも刺激とやらになるのかもしれない。
「あと、コレ」
そういってリカが小さな紙袋を取り出した。花織は不思議そうな顔でそれを受け取る。何だろうか、触った感じだと円柱状の何かが入ってるようだ。
「ウチから花織にプレゼントや。開けてみい」
言われるがまま花織は紙袋を開ける。中に入っていたのは色付きのリップクリームだった。花織は驚いてそれとリカを見比べる。
「ローズピンクのリップや。合宿中やから流石に化粧はアレやけど、リップぐらいならええやろ。つけると結構印象変わるで」
でも悪いよ、と花織が言葉を告げようとする。がそれよりも早くテーブルに頬杖をついたリカが花織を見つめて呟く。
「スキンシップも減っとるっていうとったからな、試してみい」
「……ありがとうリカちゃん」
ぎゅっと胸に彼女からの贈り物を抱きしめる。勢いは強いけれど、親身になって色々考えてくれる彼女はとても良い友人だ。本当に私は良い友を持ったと花織は思わず表情を綻ばせる。
「せめてじゃあ、リカちゃんのカフェラテとシフォンケーキは奢るね。今日のお礼」
「ホンマに? ありがとうなあ、花織」
ちょっとお財布ピンチになりかかっててん。とリカが嬉しそうに言った。花織はふふ、と笑いながらまた一口ミルクティーを呑む。リカといると楽しい、自分にない様々なものを彼女は与えてくれる。
「とにかく、結果報告だけはしっかり頼むで。あんまり心配はしとらんけどな」