脅威の侵略者編 第十八章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
円堂が立向居に変わりキーパーに入る。だが選手たちはほとんど動けない。ダークエンペラーズのボールから試合は再開し、風丸がゴールまでボールを持ち込んだ。雷門のディフェンスは機能していないも同然になっている。
「勝負してみたかった、キーパーのお前と!」
風丸がゴールに立つ円堂を指差し、強い口調で言う。円堂は両手を叩いて構えを取った。
「望むところだ!」
力強いその返答に風丸の口角がにやりと上がった。渾身の力でボールを円堂に向けて蹴り込む。円堂はボールを受け止めきれずに後ろへ倒れる。風丸は自分の勝ちを確信した、やはり努力を凌ぐのは強い力だ、そう思った。
「まだだ‼」
だが円堂は諦めずに地面を蹴り、ボールをキャッチする。風丸は眉間に皺を寄せた。何故諦めないのか……そう思った瞬間にふと過去の記憶がよぎった。
帝国との試合、初めて俺が参加したサッカー部の試合。あんなに実力差があったのに円堂は決して諦めなかった。何度ゴールを割られたって円堂は必ず立ち上がった。まだ終わってねーぞ‼ 円堂の言葉が脳裏に響く。
「それが、円堂……」
風丸が何かを思い出したように呟いた言葉に円堂が反応した。ボールを抱えて自分の目の前に立つ風丸に円堂は問いかける。
「風丸、どうしてエイリア石なんかに……」
「俺は強くなりたかった。……お前のように!」
誰かを守れるだけの力が欲しかった。そう微かに呟いた言葉に円堂は何かに気付いたようだった。少し考えた後に円堂は風丸の方へボールを放る。そして再び風丸に向けて構える。
「来い! お前のすべてを受け止める」
❀
花織は祈る様な気持ちで円堂と風丸のやり取りを見守っていた。風丸が何度も円堂にシュートを打ち込み、円堂はそれを言葉通りに受け止めた。花織には円堂が風丸の今まで辛かった気持ちもすべて包み込んで受け止めてくれている様に感じられた。だがとうとう、円堂も地面に伏してしまう。エイリア石の力が勝ったか……、誰もがそう思った瞬間に秋が叫んだ。
「雷門! 雷門! 雷門! 雷門!」
力一杯に叫ぶ雷門コール。花織は秋を振り返った、秋も諦めていないのだ、もちろん花織だって。花織も力の限り雷門コールに参加する。夏未も春奈もリカも目金も、いつの間にか学校の正門に集まっていた稲妻町の人たちも雷門への声援を投げかけた。
「雷門! 雷門! 雷門! 雷門!」
ひとりずつ、声援を受けて雷門の選手が立ち上がっていく。鬼道、豪炎寺、吹雪……そして最後には円堂も立ち上がってボールを風丸に投げ返す。
「まだ、終わってねーぞ‼」
「……っ‼」
ダークフェニックスが円堂の守るゴールを襲う。だが円堂はゴッドハンドでそれを受け止めた。彼は両手でボールを掲げて叫ぶ。
「思い出せー‼ みんなー‼!」
サッカーやろうぜ! 円堂の声が彼らの胸の中に響き渡る。 風丸はその言葉に思い出した。自分が陸上よりサッカーを選んだ理由を。なぜ今まで泥にまみれても努力を続けてきたのか。自分が何のためにサッカーを続けていたのかを。
決して強くなるためではない。ただサッカーが好きだったからだ。 円堂たちと共に勝利を目指して努力するのも、花織と一緒にサッカーをするのもすべて楽しい。そこに力などなくてよかったのだ。
風丸は微笑む。それに気づいたとき、エイリア石の砕けた音がした。大丈夫だ、もう力はいらない。すべて思い出したから。