脅威の侵略者編 第十六章
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吹雪は花織に自分の気持ちを洗い浚い打ち明けてしまいたかった。しばらく花織の胸に抱かれ、吹雪は花織に自分の心を告げようとしたが中々上手く言葉がまとまらなかった。吹雪が無理に自分を語ろうとするのを花織はやんわりと制し、少しずつでいいよと言った。自分のペースに合わせてくれる花織の存在が嬉しかった。
そして花織は染岡くんに会いに行こう、と吹雪に提案した。花織は吹雪が染岡を慕っていたのを知っていた。そして彼であれば吹雪に何らかの助言をくれるのではないかと思った。だから花織は吹雪を連れ、稲妻総合病院へと足を運ぶことにしたのだ。
染岡に事情を話せば染岡は吹雪とふたりで話がしたいと言い、ふたりで屋上へと上がって行った。花織はその間、この病院へ入院している他のメンバーと面会をしていた。
「どうして最近連絡をくれなかったのさ?」
グサッ、とマックスが、花織が見舞いに買ってきた売店のケーキにフォークを差した。その表情はムスッとしていてどこか不機嫌そうだ。花織は困り顔で苦々しく笑う。半田も困ったような表情をしていた。
「大阪でイチャイチャしてたかと思ったら、福岡に行くって言ったきり連絡がこないんだもんね。まあそれは花織だけじゃないけどさ。僕らの事、忘れてたのかと思ったよ」
花織は一応電話で細かにマックスや半田に近況の報告をしていた。だがそれも風丸がいなくなってしまってからは途絶えていた。何も連絡する気になれなかったというよりも、連絡したくなかったのだ。風丸がいなくなった事実を彼らに知られたくなかった。最も、結局キャラバンから連絡があったようだが。
「マックス、無茶言うなよ。花織は風丸がいなくなって多分大変だったんだろうし……」
「多分ってなんだよ半田。花織のことだから落ち込みまくって、泣きじゃくってたに決まってるだろ。その位僕にだって分かってるさ」
半田がマックスを宥めようとするがマックスはそれを足蹴にしてケーキを頬張った。花織はそれを聞きながら相変わらずマックスは手厳しいな、と思う。彼は本当に花織の痛いところを突くのが上手い。
「まだ連絡はないのか?」
「……うん」
半田が心配そうに花織に問うた。花織は頷く、彼からの連絡はまだない。せめてメールを読んでいてくれたらと思うが、それを確認するすべもないから心配だ。花織の表情は一瞬曇りかける。だがそれではいけないと花織は無理に話題を変えた。
「そういえば、リハビリの方はどう? 順調に進んでる?」
「順調だったら、こんなところにはいないはずなんだけどね」
マックスは未だ不機嫌そうだ。その言葉からもあまりリハビリが上手くいっていないような雰囲気を感じる。花織はちらりと半田の表情を見る。彼の方も少しだけ表情が陰ったような気がした。彼もまた、マックスと同じなのかもしれない。
「俺たちさ、チームに戻れるのかな」
半田がぽろりと零した。花織はえ?と驚いて首を傾げる。戻れるも何も、彼らは退院次第、即キャラバンに参加してほしいと花織は思っている。なのにどうしてそんなことをいうのだろう。
「どうしたの……、半田くん」
「だって、俺たちジェミニストームにコテンパンにされてここに居るんだぜ。その上のチームのイプシロンを倒して、またその上のジェネシスとかダイヤモンドダストとかと戦おうとしてる今の雷門に俺たちの居場所なんてないんじゃないか」
半田の言葉は不安に満ちていた。花織は何も言えなかった。花織は彼らに戻ってきてほしいと思っている、たぶんチームの皆も。でも実際、エイリア学園と戦うとなればどうなのだろう。長期のブランクでチームの皆とは実力差ができてしまっているかもしれない。
「正直今更戻れないよねー……、新しい仲間も増えたんでしょ? 今僕らが戻っても何の力にもなれないっていうのが現実っていうか」
「やめてよ、冗談でも。……皆、マックスくんや半田くんたちが戻ってくるのを、待ってるんだから」
花織が顔を顰めて二人に言う。二人は何も言わなかったが、花織の言葉に納得したわけではないようだった。重い沈黙が三人の中に流れる。それを破ったのはマックスだった、彼はわざとらしくため息をついてフォークを皿の上に置いた。
「僕らがいなくたって、チームは強くなるよ」
「マックスくん……」
花織はそっぽを向くマックスを見て言葉に詰まってしまった。フォローをしてほしいとばかりに半田を見たが、彼もまた花織から視線を逸らす。きっと彼も同じように感じているのだ。花織は俯く、自分が何を言うのも彼らにとっては響かないような気がした。