脅威の侵略者編 第十六章
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エイリア学園、ダイヤモンドダストからの宣戦布告が雷門イレブンに届けられた。
沖縄から東京への旅路を経て、ようやく一息を付き、それぞれが帰路に付こうとしていた時のことだった。空から黒いサッカーボールが現れ、雷門イレブンへのメッセージを届けた。先日聞いたダイヤモンドダストのキャプテン、ガゼルの声でだ。
フットボールフロンティアスタジアムで待っている。こなければ黒いサッカーボールを東京に無作為に落とす。
ガゼルの冷酷な言葉は雷門イレブンを震撼させた。それを聞いて一行はすぐさまにフットボールフロンティアスタジアムへと駆けつけた。瞳子の指示で豪炎寺をフォワードに置き、戦術を立てる。今回の試合では花織は待機、そして吹雪もベンチのようだ。
「士郎くん」
花織は皆から離れて一人で座っている吹雪に声を掛ける。チームの皆はどこか吹雪に対して気遣っているようで、彼が1人で行動することに対して何も言わない。でも花織は吹雪の傍に寄り添いたいと思った。先日の言葉を聞く限り、彼の心の中では花織を煩わしく思う感情もあるのだろう。でも放って置けない、一人で悩ませたくない。
何故なら吹雪は花織の仲間だからだ。
「隣に座ってもいいかな」
「ああ……、うん、いいよ」
吹雪がぎこちなく微笑む。花織は吹雪にありがとう、と言って微笑みかけると彼の隣に腰を下ろした。吹雪はじっと花織のことを見つめていた。
先日自分が口にしたこと、もちろん彼は覚えている。きっと彼女は離れて行ってしまうだろうと思った。なのに、どうしてこの人は。
「花織さん……」
「なあに、吹雪くん?」
まるで花のように優しい笑顔。僕が欲しいと思った笑顔を、今も僕に向けてくれるのだろうか。
❀
エイリア学園ダイヤモンドダストとの試合は波乱の展開となった。
なんとフットボールフロンティアの決勝戦の相手、世宇子中のキャプテン、アフロディが円堂たちと共に戦うと言って現れたのである。何でも彼は雷門イレブンとの試合のおかげで神のアクアに頼ることの間違いに気づき、改心したのだという。
彼はダイヤモンドダストとの試合で怪我を負ってしまったリカに変わって出場し、彼の必殺技であるゴッドノウズを決め勝利に貢献して見せた。始めはアフロディのことを疑ってかかっていた雷門のメンバーであったが、この一戦を通してアフロディのことを仲間として受け入れた。そして何とエイリア学園のマスターランクチームに対し、二対二の同点を収めたのであった。
アフロディは雷門の決定力不足を指摘し、雷門に協力すると言った。雷門の新たなメンバーとして加わったのだ。
そしてもう一つ雷門にとって革命が起こった。
何と監督が円堂にゴールキーパーをやめるように、と命令したのである。これはダイヤモンドダストとの一戦で見られた雷門の穴を指摘したものだった。円堂が連携技の為にゴールを飛び出すことでピンチになった場面が二度ほどあった。その弱点を指摘し、鬼道は円堂がリベロになることを提案した。雷門が強くなるために、そのためにはチームが大きく変わることが必要だと鬼道は言った。
そして円堂の代わりにゴールを守る役目は立向居に引き継がれることになった。
大きな変革を遂げ、翌日からの練習に備え少し早いがチームは解散し、一度帰宅することになった。家へ帰る者は家族に会うため実家へ戻り、他県からキャラバンに参加するメンバーは円堂の家に集まることになった。
花織も帰宅する為に荷物の準備を行っていた。本当は円堂に頼みたいことがあったのだが、彼が綱海たちと騒いでいる姿を見てまた翌日にしようと考える。今日は家に帰ってゆっくりしよう。だがその前に、花織にはやることがある。
「士郎くん」
花織はキャラバンを降り、一人俯いている吹雪を呼ぶ。吹雪は花織の声に顔を上げた。鞄の紐をぎゅっと握りしめ、まるで捨てられた子犬の様な目をしていた。花織はそんな吹雪の元へと歩み寄る。
「少し士郎くんと話したいんだ。付き合ってくれないかな」
「……僕は」
吹雪が花織から視線を逸らす。花織が自分を心配してきてくれたのはわかる。だがその心配は一体どこから来るものなのだろう、それを考えると胸が苦しくなった。彼女は決して自分を心配しているわけではない。アツヤが先日放った言葉が胸の中で吹雪の呼吸を妨げる。
「お願い、士郎くんの話が聞きたいの」
花織がぎゅっと吹雪の手を握る。吹雪は大きく目を見開いた、指先からほんのりと身体が温まり、ドクドクと心臓が脈を打つ。彼女の言葉は心から吹雪の本心を求めている様に思えた。その言葉選びは彼女の気遣いかもしれない。そう思っても吹雪は花織に求められた、という感覚を捨てられなかった。
「行こう、士郎くん」
笑い掛けてくれる花織の笑顔が太陽のように眩しく見えた。