脅威の侵略者編 第十五章
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花織も吹雪も突然に響き渡った衝撃にフィールドに集まった。そこには他の雷門のメンバー、大海原の学生たちも集まってきている。そしてピッチの中央にはエイリア学園ファーストランク、イプシロンの姿があった。だが今までとは様子が違う、デザームを始めとしたイプシロンの選手たちの目は赤くおどろおどろしく光っている。
「我々はパワーアップし、イプシロン改となった」
「イプシロン改?」
自ら改というからには一層彼らは強くなっているのだろう。とにかく雰囲気だけは今までよりも益々宇宙人らしい。
「我々は雷門に勝負を挑む」
「ジェネシスの命令か」
鬼道が鋭く突っ込んだ。雷門を潰す様にマスターランクチームであるジェネシスから命令が出たのだと推測するのが自然だ。その問いかけにはデザームではなく、フォワードのゼルが答える。
「命令ではない、デザーム様、そして我々イプシロン改の意思だ」
「もう一度楽しみたいのだ、実力が拮抗するもの同士のギリギリの戦いの緊張感、昂揚感。あの抑えられない感覚を楽しみながらお前たち雷門を倒す……! これ以上の理由がいると思うか?」
雷門イレブンは驚いた。命令ではなく、自分たちの意思で試合をするのか。しかもデザームはサッカーをすることに対して楽しみを感じている様に思える。今までのエイリアの選手たちにはないものだ。今までのエイリア学園はサッカーを力の象徴、そして破壊行動としか捕えていなかったように思える。
かくして、雷門イレブンVSイプシロンの三度目の試合が大海原中のグラウンドにて行われることになった。身体能力が抜群に優れた綱海をチームに加えて試合の準備を進める。花織も一応控えとして待機しておかなければならない。
ストレッチをしながら観客席を見やる。どこから試合のことを知ったのか、観客が集まり始めている。見ていて危険ではないだろうか、負ければ破壊の対象になるのはまずこの大海原だろうに。……そんな考えを花織は頬を叩いて打ち消す。
負けてはならないのだ。絶対に、負けてはいけない。花織は胸に下げたペンダントを握り締める。ピッチに立っても立たなくても、自分が雷門にとってできることを全力でやる。それだけだ。花織が顔を上げてイプシロンの方を見る、その視界に同じようにイプシロンを見据える銀髪の姿が見えた。
「……士郎くん」
先ほどのやり取りを思い出す、何とも声を掛けにくい気がした。それでも花織は意を決し、吹雪の肩を叩いた。吹雪が振り返る、彼の瞳はじっとイプシロンの選手を睨み付けていた。
「……完璧に、なるんだ」
吹雪は花織が肩を叩いたことに気が付いていないようだった。ぽつりとイプシロンに視線を向けたまま呟く。その言葉には執念の様なものが孕まれていた。
❀
イプシロンの選手たちは改と名乗るだけあって、パワーもスピードもそして必殺技もパワーアップしていた。
しかし雷門のメンバーも円堂の新必殺技、正義の鉄拳の成功によりチームが盛り上がっていた。イプシロンのフィールドプレイヤーとはほぼ互角で渡り合っている。花織はじっと吹雪の様子を窺う。今はまだ、いつもの吹雪のように思える。今日の吹雪はディフェンダーとしてのスタートで、試合開始からまだボールに触れていない。
「ローズ、スプラッシュ‼」
リカの必殺技が炸裂する。だがそれはいとも簡単にデザームのワームホールで止められてしまった。デザームはボールを左手で鷲掴み、右手を上げた。その手は一人の選手を指差す、吹雪だ。
「お前だ‼ お前が打ってこい‼」
挑発するような言葉と共にデザームはボールを吹雪に蹴りつけた。勢いのあるボールが吹雪へと向かって飛んでゆく。吹雪はそれを右足で止める。
「気にするな吹雪! お前は自分のプレーをすればいいんだ!」
鬼道が吹雪を宥めるように叫んだ。吹雪は鬼道を見た、そして肯定の言葉と共に吹雪はゴールを目掛けて走り出した。
「始めからそのつもりさ‼」
花織は目を見開く、アツヤの状態の吹雪だと一瞬で分かった。彼は鬼道の制止を振り切ってピッチを駆けて行く。イプシロンのディフェンスも彼を止めることができずに弾き飛ばされる。花織はこぶしを握った、見守るしかできないこの状況が辛い。
「エターナルブリザード‼」
吹雪がシュートを放つ、そのボールはデザームのドリルスマッシャーに止められた。その後も何度も何度も吹雪がエターナルブリザードを打ち込む。だがシュートは決まらない、デザームに完璧にブロックされてしまう。
――――シュートを決めてこそ、俺はここに居る価値がある……!
吹雪はドリブルをしながら未だに自分の心を縛り付ける記憶を反芻させる。
(ふたりが揃えば完璧ってことだな)
(ふたりが揃えばもっと強くなって、完璧になれる)
――――完璧にならなければ、俺はここに居る意味がねえんだ‼
「俺は完璧にならなきゃならないんだ‼」
吹雪の叫びがフィールドに木霊した。