脅威の侵略者編 第十四章
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一行は福岡から長い道のりを掛けて沖縄へとやってきた。正確に言うと現在は沖縄本島ではなく、阿夏遠島へ向かっているのだが。なんでも連絡船を乗り継いで沖縄本島へ渡るのらしい。阿夏遠島へ向かう船のデッキでチームのほとんどのメンバーは燥いでる。花織は吹雪、壁山、そして目金と屋根のついた場所で過ごしていた。
花織は海を眺めながら尚も時折携帯を気に掛けていた。風丸からの連絡はやはりない。でもきっと彼はメールを読んでくれているだろうと思った。そう思い込むことで少しだけ気分が楽になれた。
それにしても、やはり沖縄ということもあってとても日差しが熱く、気温も高い。花織はベンチに腰かけている壁山と吹雪に視線を向ける。壁山はぐったりとした顔で首に掛けたタオルを握っている。吹雪はこんなに暑いにも関わらずマフラーを脱ごうとせず、首元を緩めてマフラーの端で自らを扇いでいる。正直に言うと熱中症になりそうだ。
花織も暑さに大きくため息をつく。ジャージの上着は脱いでいるもののそれでも暑いものは暑い。花織も吹雪たちの掛けているベンチへと腰を下ろす。三人とも暑さにへばっているにもかかわらず、目金だけは元気そうに身を乗り出して海を眺めている。
「うわあ‼見てください、サンゴですよサンゴ‼」
「目金さん、そんなに身を乗り出したら危ないッスよ」
階下に映る美しいサンゴ礁に感動する目金にぐったりとした様子で壁山が注意する。確かに目金の身の乗り出し方は危ないなと思った。でもきちんと手すりも握っているようだし、落ちることはないだろうと思い、花織が目を逸らした時だった。
「うわ、うわあああああああっ‼」
耳を劈く悲鳴が聞こえて花織も壁山もそして吹雪も立ち上がった。目の前にいた目金の姿が無い。三人は慌ててデッキの柵へと駆け寄る。海を覗き込めばそこには溺れかかっている目金の姿があった。
「目金先輩‼」
「目金くん!」
壁山と花織が叫ぶ。他のメンバーも目金の悲鳴に何事かと集まってきて事情を悟る。どうしよう、とチーム全員が途方に暮れていた。飛び下りて彼を助けに行けば二次災害の可能性がある。泳ぎに心得があるといっても人ひとりを助けるのは難しい。その中でも円堂が海に飛び込もうとしたその時だった。
海面から桃色の髪をした男が現れ、目金の服を掴んだ。目金を担いですごいスピードで岸まで泳いでいく。
「凄い‼誰だアイツ!」
塔子が叫ぶ。花織もそのあっという間の救出劇に何も言えないでいた。
***
円堂たちは砂浜でサッカーの練習をすることになった。
目金の転落事故があったせいで、沖縄本島へ向かう船に乗り遅れてしまったのだ。何でも船は一日一便しかないらしい。ということで今日はこの阿夏遠島に泊まることになってしまった。そして円堂の提案により砂浜でサッカーをすることになったのだ。そして何の因果か先ほど目金を救出した男も練習に加わることになった。と、いっても鬼道がその男を挑発し練習に参加させたのだが。
彼は中学三年生で綱海条介という名のサーファー、サッカーは未経験なのらしい。だがそれにも関わらずリカと塔子の放ったバタフライドリームを蹴り返したところに鬼道が目を付けたのだ。彼はずば抜けた運動神経をしており、地上を転がるボールはともかく空中に浮いたボールに関してはことごとくカットできるようになっていた。そして綱海はツナミブーストという超ロングシュートを短時間の練習で編み出した。
綱海はこの練習で雷門イレブンと仲を深め、夕食には魚を振る舞ってくれたりした。雷門イレブンは久しぶりに明るくて楽しい夜を過ごすことができた。
そして翌日、一行は沖縄本島へと向かった。瞳子は先日から沖縄入りをして炎のストライカーの情報を探ってくれているのらしい。雷門イレブンの中では炎のストライカーは豪炎寺である、という確証はないものの、豪炎寺であろうという期待が高まっていた。響木監督の情報を元にキャンプを張り、雷門イレブンのメンバーもこれからチームに分かれて沖縄を探索する。手がかりはほとんどないが、聞き込みをしていけば何かわかるだろうという考えである。
「あっちぃ……、しかし手がかりがもっとあればいいのにな」
土門が手で日よけを作りながら呟いた。チームに別れ探索を初めて数時間、未だに何の手がかりも得られていない。花織は土門、吹雪と一緒に炎のストライカーの情報を探していた。何しろ鬼道は円堂、立向居と一緒にいつの間にか姿を消してしまっていたし、リカは一之瀬を強引に引っ張り沖縄デートや‼ と恐ろしい速さで海へ向かって行った。結局、その様子に置いてけぼりになった土門とひとりでいた吹雪と一緒に組み、沖縄を探索することになったのである。
「うん。……みんなは何か手がかりを得られたのかな」
花織もタオルで汗を拭いながら土門の言葉に返した。暑さに汗が噴き出す。汗で身体はべたつくし、気持ちが悪い。花織はさらりと髪を掻き上げた。少しだけ首回りの熱が放散される。吹雪は未だにマフラーを巻いていて見ているだけで暑そうだ。
「豪炎寺くんだといいよね、炎のストライカー」
「ああ、久しぶりに俺も会いたいぜ。花織ちゃんもだろ?」
「うん、よく考えたらもうずいぶん経つよね。豪炎寺くんがいなくなって」
花織は奈良で豪炎寺が去ってしまったという話を聞いた時を思い返す。そういえばまだ吹雪とは出会ってもいなかったし、風丸とも寄りを戻す前だった。そう思うともうかなり昔の事のように思えてしまう。頼りがいのある雷門のエースストライカー、花織も豪炎寺には戻ってきてほしいと思う。
「染岡くんも豪炎寺くんのこと、好きだったよね」
「そうだな」
吹雪は染岡から豪炎寺がどんな人物かを簡単に聞いている。そして染岡は吹雪の言うとおり染岡は豪炎寺とずっとツートップでやってきていたから、恐らく円堂たちとは別の意味で親交が深いだろう。初めは吹雪のように豪炎寺も毛嫌いしていたが、いつの間にか本当に打ち解けていたと思う。それはもちろん吹雪も例外ではないが……。
その時ピィーッと指笛が三人を呼び止めた。彼らは驚いて音の方を振り返る。そこには赤い髪の同世代位の少年が立っていた。何となく、近寄りがたい雰囲気。
「そのジャージ雷門中だろ? カッコいいじゃんか」
「おう」
少年はこちらへと歩み寄りながら言葉を続ける。土門が不審そうに顔を顰めた。
「なるほどねえ、俺のこと探してたのって雷門中だったのか」
「はあ?」
益々土門は訳が分からない、と言いたげな顔をした。花織もどこかエラそうなこの少年を見つめる。サッカーボールを抱えている少年だから、雷門中のことを知っていてもおかしくはないかもしれない。
「つまりさそれって宇宙人と戦うって事だろ」
「何言ってんだ」
「君は?」
勝手に話を進める少年に土門も吹雪も怪訝そうに顔を顰めた。少年は自信満々に笑う。
「俺は南雲晴矢、アンタらが捜してる炎のストライカーって、多分俺」
炎のストライカーがこの人?花織は首を傾げた。てっきり豪炎寺だと思っていたのに、と思った。その気持ちが花織の口からついて出る。
「貴方が、炎のストライカー?証拠はあるんですか」
「ん? アンタも雷門イレブンなのか。へえ、雷門も女を選手にするんだな」
興味深そうに花織の顔を眺めながら南雲が花織に歩み寄る。花織が今日はジャージを着用している為、選手だと思ったようだ。マネージャーです、と花織が否定するまもなく南雲との間にさっと吹雪が身体を割り入れた。南雲はおっと、と驚いたような顔をしたがすぐにニヤッと笑った。
「はは、悪い悪い。別に手を出したりしねえよ。で、証拠だっけ? そんなの、俺のシュートを見りゃわかるって」
南雲は自信満々の様子で挑発的に笑った。
「見せてやるよ、俺のシュートを!」