脅威の侵略者編 第十一章
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一日に渡る短いようでふたりにとっては長く感じられた仲違いは、ようやく終焉を迎えた。練習所に現れたふたりを見て、チームメイトは安堵していた。なんだかんだ言ってチームメイト達は風丸と花織の付き合いに振り回されてしまう。
彼女たちの姿が良く目に入るからだ。呆れるようなことをしていることもあるが、基本的に選手としてお互いを高め合おうと練習を重ねている彼らの姿は微笑ましいと言える。そして今日も、彼らは一緒に練習を行っていた。
「ちゃんと仲直りしたんやなあ、花織。ウチ心配で夜も眠れんかってん」
「ごめんね、心配かけちゃって。でももう大丈夫だから」
練習の合間、リカが花織の元へとやってくる。強引に一之瀬を引きつれて。花織の傍にいた風丸はちらりとリカと一之瀬を見た。その視線に気が付いたリカはじいっと風丸を見た。
「アンタが花織の彼氏やってな、花織から聞いてるで。また花織のこと不安にさせたらウチが許さへんからな、覚えとき!」
「あ、ああ……」
リカの剣幕に風丸は動揺する。まさかリカが自分と花織の関係を、そして昨日の事件を知っているとは思わなかったのだ。何しろ花織とリカは昨日であったばかりのはずだったからだ。花織は風丸の腕に自分の腕を回す。そしてまあまあ、とリカを宥めた。
「元はと言えばちゃんとはっきりしない私が悪かったから。それにちゃんと話せたから、もういいの」
「アカンでえ、花織! ちゃんとはっきりさせとかんと、横からピュッと奪い取られてまうかもしれんやん!」
リカがぎゅーっと一之瀬の腕を抱き寄せながら言う。その言葉にハッとさせられたのは花織ではなく風丸だった。表情にはそれを一切出さなかったが、胸の内でドキリとする。真帝国学園の不動の言葉が頭を過った。そうだ、ちゃんと彼女が自分のものであると知らしめなければ、彼女にとって一番でなければ、横から彼女を奪い取られてしまうかもしれない。
「そんな心配はいらない。……花織のことは俺が離さないから」
「えっ?」
風丸のほか三人が驚きの声を上げる。中でも花織はかあっと顔が熱くなるのを感じた、明らかに自分に対する好意を彼が口にしたからだ。花織は嬉しくなってにやける頬を押さえる。リカはきゃあっと歓声を上げて花織の背中をバンバン叩いた。
「めっちゃええ男やん! 花織‼ アンタ幸せもんやなあ、こないに彼氏に思われて‼ ウチもダーリンにいつか言って貰いたいわあ」
ちらちらとリカが一之瀬に視線を送る。一之瀬はハハハ……、と力なく笑っていた。風丸はそんな一之瀬に同情の視線を送る。しかし花織もリカも女子トークでそんなやりとりには気が付いていないようだった。
「せや!今度ダブルデートせえへん? 一緒にデートスポット巡るんや!」
「あ、それ楽しそうだね!」
「せやろーっ! 今度一緒に行こうな!」
きゃあきゃあと女子二人は盛り上がる。男子二人はそんなふたりを見ながら苦笑を漏らした。一之瀬の方は完全に困りきった笑いだろうが、風丸は違った。花織がこんなふうに楽しそうに騒ぐのは珍しい。話している内容こそ苦笑が漏れるが、心の中では少し微笑ましい気もしていた。