脅威の侵略者編 第十章
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後半、宣言通りすぐさま吹雪がエターナルブリザードを決めて一点をもぎ取った。そこから雷門の勢いに火が付き、怒涛の展開で逆転勝利を収めることになった。結果として4-1での勝利だ。一時はどうなることになるかと思ったが、一之瀬が今すぐ雷門を抜けてリカの婿修行に入ることは避けられそうだ。問題点と言えばリカが益々一之瀬に惚れ込んだことぐらいだろう。
だがギャルズは想像以上の強さであった。一応雷門のメンバーはエイリア学園ジェミニストームに勝ったチームなのだ。そんなチームといい勝負ができる女子チームは中々ないだろう。皆彼女たちの強さを不思議がった。彼女たちは始めこそ強さの秘密を隠したがっていたが、リカの恋を応援するためと雷門メンバーに秘密を打ち明けてくれることになった。
秘密というのはナニワランドのお城の地下にあった。
一見行き止まりに見えるその場所、リカが隠しスイッチを入れればゴンドラが動き出した。ゴンドラは下へ下へと降りていく。そして最下層に辿り着き、扉を開けばそこにはまるでイナビカリ修練所にあるような器具が置かれた場所があった。
「じゃじゃーん! どうや? 可愛いやろ?」
リカがハイテンションに一之瀬の腕を組みながら手を広げる。たくさんの部屋に置かれたトレーニングマシンは可愛らしくデコレーションされていた。流石イマドキの女子の所業である。自分たちで飾り付けたらしい。そしてこのマシンは普通のトレーニングマシンとは違い、物凄く高性能なものであった。
そして雷門イレブンは一之瀬の説得もあり、ギャルズキャプテンリカの許可を得て練習を行うことになった。
「鬼道さん」
花織も練習着に着替えて鬼道に声を掛ける。風丸とは未だあれから言葉を交わしていなかった。といっても花織が一方的に彼を避けているだけなのだが。だが花織に避けられていることもあって風丸も何となく花織を避けはじめていた。
「花織」
「私も参加して良いですか?」
にこっと花織がいつも通りの微笑を浮かべて鬼道に尋ねた。今現在、マネージャーの仕事がないのだ。見ている時間ももちろん大切であるが、今は練習が後れ気味になっている為、少しでも練習に時間を割きたかったのだ。
「構わない。……だが、お前はこっちのマシンよりも向こうの風丸と同じマシンで練習をした方が」
「こっちでお願いします」
有無を言わせない微笑みを彼女が見せている。鬼道はどき、と違う意味で心臓が脈打つの感じた。鬼道も花織が怒っているのを見るのは実際初めてだった。初めて知った、彼女が微笑みにここまで威圧を含めることができることを。
「ああ、まあ……。いいだろう」
「ありがとうございます」
軽く会釈して花織は他のメンバーの所に駆けて行く。鬼道が花織を振り返ってみると、彼女は至って普通通りの振る舞いをしていた。風丸が絡まないことに関してのみだが。
「相当怒ってるなー、花織ちゃん」
「ああ、あれほど怒る花織は初めて見た」
やれやれと言わんばかりに土門が鬼道に言葉を掛けた。土門は仲の良い一之瀬をリカにとられている為、フリーになっているのである。元帝国学園の二人、花織と仲の良いふたりは彼女の機嫌について言葉を交わしあう。
「まあ、風丸もなんで花織ちゃんが怒ってるか分かってないみたいだしな」
「少し考えればわかりそうなものだが。自分の行動には鈍感なんだろう」
鬼道はそう言いながら自分のライバルのことを考える。風丸一郎太という男は花織の感情変化には鋭い癖に自分に向けられる気持ちに対しての意識は薄いらしい。恐らく自分に自信がないからこそだろう、花織が嫉妬するなんて考えていないのではないだろうか。
鬼道は正直言って、ふたりが決裂してくれる分には構わない。何せ自分の元へ彼女を取り戻すチャンスができるからである。しかし彼女が悲しむ顔は見たくないというのが鬼道の考えだ。彼女の気持ちが一番大事、だからどんな時でも彼女の味方ではいるつもりだ。だがこんなにしょうもない話に首を突っ込む気はない。
サッサと仲直りをすればいいだけの話、風丸が気付くか花織が折れるか。ただそれだけだ。