脅威の侵略者編 第九章
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翌日、イナズマキャラバンは東京、稲妻町に戻ってきた。眼前に鉄塔が現れた時にはチームに歓声が上がった。それだけ自分たちの町に帰ってきたのだという感動があった。そして河川敷に寄り道をしてみれば、御影専農のキャプテン杉森から雷門にはバックアップチームがあるということを知らされた。何でも雷門の皆が安心して戦えるように色々な選手たちが控えているとのことである。
エイリア学園と戦おうとしているのは自分たちだけではない、そういう意味で円堂らは元気をもらった気分だった。そしてその後、雷門中に戻り一度解散をして現在に至る。稲妻町に住むメンバーたちは一度家に帰ろう、という話なり各々行動を始めていた。
「一郎太くん」
荷物を持ち、帰り支度をしていた風丸の名を花織が呼ぶ。風丸が振り返るとすでに支度を終えたらしい花織が風丸の方を見つめていた。風丸は立ち上がり、どうしたんだ?と花織に問う。
「あのね、よかったら一緒に行きたいところがあるんだ。時間があったら一緒に寄り道しない?」
「? ……ああ、構わないけど。どこに行くんだ?」
「行けばわかるよ、すぐ近くだもの」
若干嬉しそうに微笑みながら花織が風丸の手を引く。相変わらず仲がいいな、と周囲に居た選手たちは二人の様子を見て思った。風丸は不思議そうに首を傾げたものの、花織に連れられその目的の場所へと向かうことにした。
その場所は歩いて10分と掛からなかった。そして到着するや否や、花織の目的が一瞬で理解できた。
「花織」
「うん、マックスくんたちにはちょくちょく電話はしてたんだけど……。やっぱり実際に会って元気になったか知りたいから」
今日は手ぶらだけどね、と花織が両手を振って笑う。そう、花織が風丸を連れてきたのは雷門中から最寄りの病院である稲妻総合病院だ。半田やマックス、宍戸らが入院している病院である。ふたりは病院内に入ると病室を確認し、彼らの病室へ向かった。迷うことなく彼らの病室を見つけ、とんとんと扉をノックする。
「こんにちはー……、ってあれ?」
「円堂、来てたのか」
花織と風丸が病室を覗き込めば、円堂がすでに病室内の彼らと大盛り上がりの最中だった。よくもまあ、これだけ騒いで怒られないものだと思う。何せ少林などベッドの上でカンフーポーズを披露しているのだから。
「おう! 風丸たちも来たのか!」
円堂が一年生たちとじゃれ合いながら風丸らの声に反応する。花織たちは若干引いた様子で病室内に足を踏み入れた。
「花織、風丸!」
病室に足を踏み入れればすぐに半田が手を振って二人を呼ぶ。傍にはマックスの姿もあった。腕を組み、ニヤニヤしながら二人を見ている。
「久しぶりだな、元気にしてたか?」
「まあね、そっちも仲が宜しいようで僕は安心したよ」
マックスがからかうような口調で言う。風丸も花織もそれに安堵したような微笑を返した。
「ふふ、お陰様で。マックスくんたちも元気そうで何よりだよ。もうすぐ退院できそう?」
「さあ、僕らはもういいんだけど病院は検査検査でうるさくてさあ」
未だ退院の日程は決まっていないらしい。だが彼らの怪我は随分とよくなったようであった。以前は本当に怪我で痛々しい様子であったから、こんなふうに元気な姿が見られると安心できた。
「それより花織、今お前選手として活躍してるんだって? 円堂が言ってたぞ」
「しかもジェミニストームとの試合の時はテレビに映ってたしね」
半田が花織のことを見つめて問いかける。マックスもそう言って花織が試合に出ているということを肯定する意見を出した。花織はえ?と一瞬驚いたような顔をしたが、そんなことないよと顔の前で手を振った。
「確かに選手として試合に出ることもあるけど……。活躍はしてないよ、人数が足りないよりはマシかなって感じ」
「でも疾風ダッシュ使うんだろ?」
「まあ……、ね?」
くす、と意味深に笑いながら花織が風丸に視線を送ると風丸は少し頬を染めて、ああと言った。そんな彼が照れくさそうに頬を掻く姿を見て、マックスが呆れた様に手を振る。
「あーあー、もうお熱いなあ。キャラバンに乗ってる皆に同情するよ、僕」
マックスがワザとらしく声を大きくため息をつく。すると向こう側に居た少林たちがこちらの話題に食いついてきた。
「えー! 風丸先輩たち、仲直りしたんですか⁉」
「どっちからですか? やっぱり花織先輩からですか?」
何と思いもよらないことに二人の恋路については一年生も意外なことに興味があったようだ。花織と風丸は顔を見合わせて、困ったように笑う。そして自分たちを祝福したいのか、からかいたいのかよくわからない彼らの質問に誤魔化しつつも答えるのだった。