脅威の侵略者編 第四章
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花織は鬼道の指示で前回と同じサイドバックに付いていた。風丸がミッドフィルダーに上がっているため、そのポジションが空くのだ。それは花織にとってとても都合のいいことであった。何しろ、彼の動きしかわからないのだから彼が普段ついているポジション以外に当てられても動きなどわからないのである。
さて、試合を始めようか。そんな時になって雷門イレブン内には衝撃が走っていた。
「あの野郎、なんでディフェンスにいる……⁉」
「吹雪はフォワードじゃなかったのか⁉」
染岡と鬼道が驚愕の声を上げている。なんと伝説のストライカーと呼ばれているはずの吹雪士郎がセンターバックにいるのである。ストライカーなのだから、普通ならばフォワードだろう。響木が誤って情報を得たのだろうか、花織は単純にそう思った。噂のみが先行していた選手のようだし、その可能性は十分に考えられるのではないだろうか。
だが白恋のメンバー曰く、吹雪はフォワードらしい。だが今はディフェンスなのだそうだ。……その意味が、花織にもまた雷門イレブンにとっても全く理解できなかった。まあ、それは試合をしてみればどうせわかることだろう。
試合開始のホイッスルがフィールドに響く。雷門側のキックオフによって試合は開始された。それと同時に染岡が突っ込む。今日の彼は相当燃えているようだ。吹雪に対する敵愾心でかなり強引な突っ込み方をしているようだ。
「アイスグランド‼」
だが吹雪は見たこともない必殺技で止めた。あっさり、易々と。その後、何度染岡がシュートを打とうと彼を抜こうと、簡単に止めてしまう。きっと雷門の誰よりもディフェンス能力は高いのではないだろうか。
「……出番だよ」
びゅうと強い北風が吹いた、花織は目を見張る。染岡が吹雪に弾き飛ばされたのだが、それよりも花織は気にかかることがあった。吹雪の雰囲気が違う、何と言えばよいのか分からないが先ほどの穏やかな面が消え、表情からもとても強気そうに見える。
「この程度かよお、甘っちょろい奴らだ」
口調が違う、まるで別人みたいに。花織はじっと彼を凝視する。もしかして彼は二重人格か。稀にいるだろう、ハンドルを握ると人が変わる……みたいな人間が。吹雪はその類だろうか、何というかあまりの彼の雰囲気の変貌ぶりに花織は戸惑う。それは雷門イレブンも同じだ。
「吹雪くん!」
「任せとけって。いつもみたいにバンバン点取ってやっからよお! 見てなあ!」
だが白恋イレブンはそうではないらしい。吹雪の変貌を慣れた様子で見ている、彼はきっと何時もそうなのだろう。花織は駆けだした、彼が急に雷門陣内に切り込んできたのだ。白恋イレブンは、今はまだディフェンスだと言っていた。ということはいずれフォワードになるということを示唆している、即ちそれが今なのではないかと思ったからだ。
一之瀬のタックルも、鬼道と風丸のスライディングタックルも吹雪を止めることができずに抜かれてしまう。土門のキラースライドも易々躱されてしまった。花織は彼の前に走り、吹雪に立ちふさがる。一瞬、吹雪と目が合ったような気がした。
「……っ‼」
だがそんな事は関係ない。花織は構わず吹雪に向かってスライディングをした。だが彼は花織よりも小さな体とは思えない力で花織ごとボールを蹴り飛ばす。弾き飛ばされた花織は地面に尻餅をついたまま、吹雪を振り返った。
「吹き荒れろ、エターナルブリザード‼」
「ゴッドハンド‼」
吹雪のシュートが放たれる。円堂がゴッドハンドで対処したが、止めることは叶わずそのまま吹雪のシュートはゴールへ突き刺さった。
素晴らしいディフェンス能力と驚異的なシュート力。それが白恋中エースストライカー吹雪士郎の実態であった。