脅威の侵略者編 第二章
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SPフィクサーズとの試合は土壇場での豪炎寺の決勝点により一対ゼロという結果で試合終了を迎えた。四人という人数差がありながらも、大人相手に雷門イレブンは何とか勝利を手にすることができた。これが監督の采配のおかげなのかどうか……、判断は難しいがとにかく勝てたのだという点が大切だろう。
試合が終わった後、花織たちと同世代らしき女の子……、財前塔子から実は円堂たちが宇宙人ではなく、フットボールフロンティアで優勝した雷門中学だと気づいていたということをカミングアウトされた。何でも彼女は総理大臣の実の娘であり、父をエイリア学園から救い出すために強い仲間を探していたらしい。そのため雷門中に強引に試合をさせ、彼らの実力を測れるように仕向けたのだ。
さて、花織はそんな話の傍らで、一之瀬と土門に礼を言っていた。この試合、始めての参加だったから彼らにはかなり迷惑をかけたと花織は思っていた。それは事実であり、花織が動きやすかったのは彼らのおかげだ。花織がプレーしやすいようにすべて先を読んで動いていてくれたからだった。
「一之瀬くん、土門くん。今日はありがとう、いろいろ助けてくれて……」
「いいってことよ。それにしても花織ちゃん、デビュー戦にしてはかなり動けてたな。流石、帝国学園出身だよなあ」
親指を立ててウインクをして見せる土門に花織は改めてありがとう、と微笑む。一之瀬は土門の意見に同調しながらも自分の感じたことを花織に素直に述べた。
「花織、君は本当に試合をよく見ているんだね。いや……風丸を、かな」
「ホント、それに尽きるよな。癖までそっくりなんて、中々ないと思うぜ」
他の選手たちよりも少し離れたところで話してはいるが、土門が小声で花織に言う。この話を風丸に聞かれても、鬼道に聞かれても花織にとって気まずいところが多いだろうと踏んだためだ。
一之瀬も土門も完全に花織の意思を尊重するように動いている。複雑なこの関係の鍵を握るのは確実に花織だからだ。それに何よりの理由は鬼道、風丸、花織の中で最もよく話す人物はだれかと聞かれたときに真っ先に花織が上がるからだろうか。単純に、友人としてこの二人は花織が大切なのだ。
「それで、これからも花織は試合には出るつもりなのか? 花織の実力なら十分に俺たちとプレーできると思うんだ」
「うーん、一之瀬。そりゃちょっと難しいんじゃないか? 花織ちゃんの実力がないとは言わないが、鬼道と風丸が許さないだろう。特に、エイリア学園と試合するんだとなれば……」
「ああ、それも一理あるな」
花織は微苦笑を漏らす。花織もできれば彼らと共に戦えればと思う。だが、自分の今の実力では絶対にエイリア学園と戦うには不足であるし、何より土門の言うとおり風丸はともかく、先ほどの様子から鬼道は黙っていそうにない。先ほどはエイリア学園との試合でないからという理由で許してくれたようなものだ。
「月島さん」
雑談を続ける三人の背後から唐突に声が掛けられる。声の主を各々が振り返ってみると、それは瞳子監督だった。いつものように腕を組み、無表情に花織を見下ろしている。
「何でしょうか?」
「……貴女、マネージャーなのよね?」
少し眉間に皺を寄せて瞳子が花織に問い掛ける。花織はこくりと頷いた。花織は大して、瞳子に対して好感を持っていない。それは第一印象が影響するものもあるし、何より先ほどの選手に理由を説明しない采配のせいだった。
「そうですけど……」
「そう。だったらこれからは無理のない程度に練習に参加して。ユニフォームとスパイクはちゃんと準備しておいてね。貴女レベルの人を選手として使わない手はないわ、よろしくね」
有無を言わさず、瞳子監督はそう言い切ると長い髪を靡かせてその場を去って行った。どうやら必要があれば花織にも試合に出ろ、ということらしい。数十秒間、そこは沈黙していたがぽんと土門が花織の肩に手を置く。何となく、同情するぜと言いたげな顔をしている。
「……あの監督、わけわからないよな。俺は苦手なタイプだ」
「そういうなよ土門。さっきの作戦だって、ちゃんとした理由があったのは事実なんだからさ」
確かに、瞳子が出した作戦はきちんとした意図があったようだ。負傷した選手の怪我をこれ以上悪化させないため。人数を減らすことで相手を前へと誘いだし、相手の裏を掻くため……。しかし花織は眉を顰める。確かにそれは監督が考えたことなのかもしれない、だがそれに気づき、チームに伝えたのは他でもない鬼道だ。
「でも……、私も土門くんと同じ。監督の事、苦手かもしれない……」
花織がそう言って目を伏せた時だった。ジジ……、と鹿公園に設置されている巨大テレビモニターの画面に映像が映る。その映像から聞こえてきた声は、円堂たち雷門イレブンにとって物凄く聞き覚えのある声であった。
「地球の民たちよ、聞け! 我らはエイリア学園、ジェミニストームだ」