脅威の侵略者編 第一章
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マックスや半田たちに挨拶と約束を済ませ、花織は急いで雷門中学へと向かった。一行がこれから向かうのは奈良に決まった。この数時間の間に、奈良の鹿公園がジェミニストームの襲撃を受け、財前総理が誘拐されたらしい。何か手がかりがあるかもしれないと、まずそこへ向かうことになったのだ。
キャラバンに荷物を積み込み、順番に座席に付く。花織は秋と共に備品の準備をしていた為、最後にキャラバンに乗り込んだ。荷物を置き、どこの座席に座ろうかと周囲を見て回る。キャラバンのシートは一席三人掛けでそれが横に二列、縦に三列と奥に長い一列というつくりだ。各々、仲の良いメンバー同士がペアで座っている。
「花織」
座席の先頭から名を呼ばれて花織は返事をする。花織を呼んだのは鬼道だった。鬼道はぽんぽんと隣の席を叩きながら花織に言う。
「……いいんですか? 座っても」
「だったらお前はどこに座る気なんだ?」
鬼道は怪訝そうな表情で花織を見上げた。他の座席はすでにふたりずつ掛けていて埋まっている。特にマネージャーは三人並んで座っており、もはや座る場所すらない。隣に誰も座っていないのは鬼道だけだった。
「そうですね。じゃあ、お言葉に甘えて失礼します」
花織が鬼道の隣に腰を下ろして鬼道に微笑んだ。鬼道は花織の微笑に満足そうに笑いながら足を組み替える。花織は思った、鬼道が隣ならば長時間の移動は退屈しないだろう。互いに話すことはいくらでもある、花織にとって鬼道から得るサッカー経験の話はとても貴重なものだった。そんなふたりを春奈は嬉しそうに見守るが、不機嫌そうに顔を顰める者もいた。
「……鬼道さん。絶対にエイリア学園を倒しましょうね」
「ああ、もちろんだ」
キャラバン発進直前、シートベルトを締め終えた花織が鬼道に決意のような言葉を口にした。その瞳には選手たちと同じように戦う意志に満ち満ちていた。鬼道はああ、と言葉を返す。
「お前のサポートにも期待している。全員でエイリア学園を倒そう」
「はい……っ!」
視界が開け、キャラバンが地上へ飛び出す。鬼道と花織はすぐさま二人でサッカートークを始めてしまった。鬼道の後ろの座席、彼らの話し声がすべて聞こえるその位置に座る風丸は円堂と話をしながらも、時折不機嫌そうに顔を顰めた。
「どうした? 風丸」
「いや、なんでもない。円堂」
希望を乗せて、打倒エイリア学園の旅を始めた雷門イレブン。だが、これから起こる波乱万丈の出来事を予期するものは誰もいなかった。エイリア学園を倒す旅も最強のチーム作りも、そしてこの走ることを愛する少女の周りで渦巻く、一層複雑な恋心もまだ始まったばかりである。