FF編 第十二章
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いつもよりも気合を入れて風丸はフィールドに立つ。いつも通りのポジション、いつも通りの仲間。プレー環境は同じなのにいつもよりも緊張していた。これから始まる決勝戦への意気込みが試合開始時間が近づくにつれて高まっていく。
……花織。一度だけベンチにいる彼女の方へと視線を向けて、風丸は相手チームを見据えた。勝たなければならない、今までの練習を結果として出すために。何よりも花織と約束したのだから、絶対に勝つのだと。
勝って花織と話さなければならないことがある。たとえ花織が俺を嫌いになったのだとしても、鬼道が好きだという宣告だとしても花織の話を聞かなければならないことには変わりない。俺のすべてを左右してきた花織の決定を聞いて、どんな形であれ今のふたりの関係を解消しなければならない。
優勝して学校に戻ったら、陸上部のグラウンド近くのベンチで。控え室を出る時にそんな約束をした。これがきっと自分たちを左右する最後の告白になるだろう。そのためにもまずは目の前の試合に集中しなければならない。世宇子中学のプレーヤーがセンターサークル内に足を踏み入れる。風丸は胸の中で、自分が取り付けた花織との約束を勝利への誓いとして繰り返した。
俺も花織と話したいことがあるんだ。……だから、優勝したら俺の話も聞いてほしい。試合開始のホイッスルの音は風の中に溶けて消える。ボールが蹴りだされるのと同時に、彼は足を踏み出した。