終点
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
宙には夢にまで見た、抜けるような青空と、青々とした木々が生い茂る景色があった。暗闇ばかり見つめていたからか、世界の鮮やかさに眩暈がするほどだ。
胸いっぱいに空気を吸い込むと、自分の中の不浄が洗い流される気がした。草木の茂った柔らかな大地に足をつける。寒々とした白の世界を抜け出した今、目の前には想像以上の世界が佇む。……ここから先、どこを歩けばよいのか全く見当もつかない。だけど。
「……ユキ」
愛しい声が聞こえて手を伸ばす。伸ばしたその手を、彼女を呼んだ声の主はしっかりと掴み取ってくれた。手に馴染む温もりが、繋ぎ合ったお互いの手を通して伝わっていく。ユキの手を導いて、彼は進むべき道を指し示す。
「行こうぜ」
長い時を過ごした宇宙船と乗員たちに別れを告げ、ふたりは共に歩き出す。見知った様子で彼はユキの手を引いた。今でも夢ではないかと思うことがある。自分が生きたいと願った今が存在していること。友が与えてくれた未来がこの手の中にあることにも。
「温けェなァ……」
姿は見えない過去を積み上げて、無限大の未来を切り開く。白い壁の向こうは闇ではなく光だった。彼女は、友が願ってくれた幸せを掴むために歩き始める。彼女の物語は終焉を迎え、そして新たに始まっていく。これまでの旅で得た想いが、彼女の世界に光を灯す。
辿り着いた宇宙の中で、彼女は差し伸べてくれる手を見つけたのだ。
~END~
2/2ページ