七不思議の後輩ちゃん 妖恋慕

「……寝ちまったな」
「にゃー、可愛い……!」
「はい。とても可愛らしいですね……!」
「てか、やっぱり寝る時はチビの姿なんだな」
「妖力が安定してない、訳じゃないよね……?」
「昼はお元気そうでしたけど……。無理をされていたんでしょうか……?」
「この姿の方が楽なんじゃね? 木霊ってチビの姿のやつが多いし」
「元々の妖力が少ないって言ってたな」
「おい、そろそろ始めんぞ」

「皆集まってるね」
「急に話があるってどうしたんだよ?」
「しかも、#フジヒメ#には聞かせられない話って……」
「また噂が消えかけてんのか?」
「それは大丈夫じゃないかなぁ。怪談もよく聞くし、妖力も問題ないと思うよ」
「おまけに中庭の藤棚の方も何かと有名になってるからね。外もある程度なら出られるんじゃないか?」
「一夜にして満開になったってな。あん時は学園以外のヤツも来てたはずだ」
「とても綺麗でしたから……」
「そうだね」

「でも、今日話したいのは別なんだ」
「また何かの厄介事じゃねぇだろうな……」
「んー、それはどうだろう。厄介かもしれないし、そうじゃないかもしれない……」
「また随分と曖昧だね」
「曖昧だからこそ、彼女には聞かせたくないんだ」
「まずはオレたちで、ってことだね」
「さすが蛇くん。実は今また新しい怪談が語られ始めている」

「生徒を拐う怪談……」
「実際に消えたヤツはいるのか?」
「行方不明になった生徒は今のところ出てないよ」
「今のところ……ということは、これから出るかもしれないってことですか……?」
「それって、まずくね?」
「だからアイツに聞かせられねぇんだな」
「あぁ。こんな話、彼女には聞かせられないさ。僕たちなら彼女が傷つくような事はしないと断言できるけど、新しい怪談だと話は別だ」
「力を得たいだけの妖怪なら尚更だね……」
「そう。力を得たいだけならすぐにでも人間たちを襲うはずなんだけど――」
「消えた生徒がいねぇってことは、まだ襲ってないってことだよな?」
「目的がわからないな……」

「この怪談をこのまま放って置くことはないできない。でも、目的がわからない以上、彼女にもまだ言えない」
「ってことは、オレたちだけで調査するんだな」
「任せてよ!」
「おう!」
「#フジヒメ#さんのため、頑張ります……!」
「お狐さまも頑張ってね」
「わーってるよ!」
「頑張るのは君もだよ、イリヤ」
「皆、ありがとう!」
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