第二章 怪談調査

「いつまでくっついてんだ?」
「ザクロも来るかい?」
「行くわけねぇだろう」
「ひどいお狐さまだねぇ。こんなに愛らしい後輩が手招いてお願いしているのに」
「……」

「君たち、中庭で何やってるのさ……」
「お帰り、二人とも」
「ただいま戻りま――わっ……! #フジヒメ#さん、いきなり抱きついてどうされたんですか……?」
「おっと。ふふ、今夜は随分と甘えん坊みたいだね。まぁ、少しは元気が戻ったようで良かった」
「そうですね……! 女子生徒さんも#フジヒメ#さんの様子を心配されてましたよ……」

「そういや、あの女子生徒。俺たちを見ても驚きはしたが、怖がっている様子はなかったな」
「シグレさんから聞いていたみたいです……。わたしたちが生徒に紛れて過ごしていることをご存知のようでして……」
「彼は僕たち一人ひとりの姿に変化して、あの女子生徒に教えていたらしい。おまけに、一目見て、言っていた妖怪だと気づけるくらいには化けるのが上手みたいだね」
「ただ……、#フジヒメ#さんのことは全く聞いたことがなかったと言っていましたね……」
「まぁ、僕たちと一緒に居たから妖怪だと思ったってところだろうね」
「うーん……シグレという妖怪が何者なのか気になるねぇ……」

「おーい、中庭で何してんだ? あ。ウタシロとメリィ、戻って来たんだな! お疲れ!」
「まぁね。道中、興味深い話がたくさん聞けたよ」
「興味深い話?」

「あれ? また集まってんのか?」
「意図せずどんどん集まって来るねぇ。トネリは散歩の途中?」
「走り足りなかったから走ってた! で、何してんだ?」

「ちょっと、さっきから騒がしいけど、また何かあったの?」
「あ、バカ猫が来た」
「バカ犬は黙ってて」
「誰がバカ犬だよ! バカ猫!」
「誰がバカ猫なのさ! バカ犬!」
「オマエらが一番騒がしいじゃねぇか」

「ふふ、皆揃って賑やかだね」
「ハナヲさん……」
「なんで便器ブラシ持ってんだ……?」
「なんでって、トイレ掃除をしてたからさ。そしたら皆の楽しそうな声が聞こえてね!」

「そうだ。せっかくだし、図書室でお茶でも飲むかい?」
「スイーツもあるのか?」
「もちろん用意するよ」
「じゃあ、行く! #フジヒメ#も行くだろ?」
「ハナヲさん、ボクも!」
「じゃあ、おれも!」
「わたしも……!」
「仕方ないね」
「ほら行くよ、お狐さま」
「は? って、引っ張んじゃねぇ!」

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