第二章 怪談調査
女子生徒の話を聞く中でいろいろとわかったことがある。
まず一つ目は、この女子生徒の探している人物が妖怪であること。
「まさか、オレたちが調査の時に会った生徒が妖怪とは思わなかったぜ……」
「妖力も妖術の気配も感じなかったし……」
「私も気付きませんでした……」
二つ目は、その妖怪と鴉くんたちは二日前の調査で会っていたこと。
その事実を知った鴉くん、狗くん、#フジヒメ#ちゃんの三人はとてもショックを受けていた。
「仕方ないよ、三人とも。傘差し狸っていう妖怪は化けるのが上手なんだ」
「ハナヲさん、傘差し狸とはどんな妖怪なんですか……?」
そして三つ目。
探している妖怪の名はシグレといい、彼は傘差し狸という妖怪で、怪談『雨に誘う朱い傘』の正体であること。
「傘差し狸は、雨の降る夕方に現れる妖怪なんだ。傘を差した人に化けては傘を持たない人間を自分の傘へと招くんだよ」
「……ここまではまだ害のないように思えるけど?」
「はい……。むしろ、親切な妖怪にも思えますね……」
「そうだね。でも、うっかり傘差し狸の傘に入ってしまうと、そのままどこか知らない場所へと連れていかれる。それに傘差し狸が現れる時の雨は、実は傘差し狸が見せている幻だと言われていることもあるんだよ」
「雨も幻……。ということは、ここ何日間の雨も幻だったのかな?」
「もしかしたら一日くらいはあるかもしれないね」
「……しかし、その傘差し狸はこの女に取り憑いてる妖怪なんだろう? なんで暴走してやがるんだ?」
シグレは女子生徒に取り憑いており、この二週間ほど「学園に行ってくる」と言って出掛けていたが、数日前を最後に姿が見えなくなってしまったらしい。
「怪談の噂が流れ始めた少し前、くらいでしょうか……?」
「何かお心当たりはありますか? シグレさんが学園に行くと仰っていたことについて」
最後に、怪談『雨に誘う朱い傘』の始まりは“大切な人を守りたい”という妖怪の想いから生まれたものであること。
「にゃあー! これだから人間はキライなんだ! 自分のことばっかりで!」
「#フジヒメ#、悲しいならおいで」
「ウタシロさん……!」
「早く何とかしてやらねぇとな。#フジヒメ#のためにも、シグレのためにも」
「だな。ヒフミの言う通りだぜ!」
「わたしも今まで以上に頑張ります……!」
「それじゃあ、救出作戦を考えないとね!」
「……おい、イリヤ」
「ん? 何だい?」
蛇くんには今回の事で思うところがあるのだろう。
皆からは見えない所で、その顔に暗い表情を浮かべていた。
まず一つ目は、この女子生徒の探している人物が妖怪であること。
「まさか、オレたちが調査の時に会った生徒が妖怪とは思わなかったぜ……」
「妖力も妖術の気配も感じなかったし……」
「私も気付きませんでした……」
二つ目は、その妖怪と鴉くんたちは二日前の調査で会っていたこと。
その事実を知った鴉くん、狗くん、#フジヒメ#ちゃんの三人はとてもショックを受けていた。
「仕方ないよ、三人とも。傘差し狸っていう妖怪は化けるのが上手なんだ」
「ハナヲさん、傘差し狸とはどんな妖怪なんですか……?」
そして三つ目。
探している妖怪の名はシグレといい、彼は傘差し狸という妖怪で、怪談『雨に誘う朱い傘』の正体であること。
「傘差し狸は、雨の降る夕方に現れる妖怪なんだ。傘を差した人に化けては傘を持たない人間を自分の傘へと招くんだよ」
「……ここまではまだ害のないように思えるけど?」
「はい……。むしろ、親切な妖怪にも思えますね……」
「そうだね。でも、うっかり傘差し狸の傘に入ってしまうと、そのままどこか知らない場所へと連れていかれる。それに傘差し狸が現れる時の雨は、実は傘差し狸が見せている幻だと言われていることもあるんだよ」
「雨も幻……。ということは、ここ何日間の雨も幻だったのかな?」
「もしかしたら一日くらいはあるかもしれないね」
「……しかし、その傘差し狸はこの女に取り憑いてる妖怪なんだろう? なんで暴走してやがるんだ?」
シグレは女子生徒に取り憑いており、この二週間ほど「学園に行ってくる」と言って出掛けていたが、数日前を最後に姿が見えなくなってしまったらしい。
「怪談の噂が流れ始めた少し前、くらいでしょうか……?」
「何かお心当たりはありますか? シグレさんが学園に行くと仰っていたことについて」
最後に、怪談『雨に誘う朱い傘』の始まりは“大切な人を守りたい”という妖怪の想いから生まれたものであること。
「にゃあー! これだから人間はキライなんだ! 自分のことばっかりで!」
「#フジヒメ#、悲しいならおいで」
「ウタシロさん……!」
「早く何とかしてやらねぇとな。#フジヒメ#のためにも、シグレのためにも」
「だな。ヒフミの言う通りだぜ!」
「わたしも今まで以上に頑張ります……!」
「それじゃあ、救出作戦を考えないとね!」
「……おい、イリヤ」
「ん? 何だい?」
蛇くんには今回の事で思うところがあるのだろう。
皆からは見えない所で、その顔に暗い表情を浮かべていた。