第二章 怪談調査

「んー、この辺りのはずですが……」
「メリィ、門に数字が書いてある。これを頼りに探そう」


調査三日目。
本日はウタシロさん、#フジヒメ#さん、わたしの三人で校外調査です。

最初に行方不明となった一年生の女子生徒さん。
そのご友人である方が二、三日前からお休みされているようです。
確認してみると家には居るようなので、話を伺いに行きます。
わたしの妖術を使えば直ぐですが、町の散策も踏まえて歩いて行くことになりました。


「素敵なお家がたくさん建ってます!」
「こーら、ふらふらしない。迷子になったらどうするのさ」
「ふふ、#フジヒメ#さんのいた頃とは家の造りが違いますか?」


目を輝かせて見上げる#フジヒメ#さんは可愛らしいです。


「はい! あ、あのお家!」
「ちょっと!」
「待ってください……!」


突然走りだした#フジヒメ#さんを急いで追いかけます。
彼女が向かったのは庭にたくさんの花が植えてある家でした。

庭に出ていた人と柵越しに話している#フジヒメ#さん。


「素敵ですね。……はい、一年生です。……え! そうなんですか!?」


彼女はあまり人見知りしないタイプのようです。


「#フジヒメ#!」
「#フジヒメ#さん……!」
「あ、ウタシロさん! メリィくん! 大変です! こちらの方の娘さん、私たちと同じ七霧学園の一年生だそうなんですが、仲の良いお友だちが次々と行方不明になったせいで、お部屋に引きこもって出てこないそうなんです!」
「え……?」
「! ……メリィ、ここだ」


上げられた表札には目的の女子生徒と同じ苗字が彫られ、住所の番地も生徒名簿データベースで確認したものと一致しています。

その後リビングに通されたわたしたちが会ったのは、恐怖に身を震わせた少女でした。





「彼女、大丈夫でしょうか?」
「#フジヒメ#さんのおかげで最後は少し表情が穏やかでしたけど……」
「藤には魔除けの力があるからね」


学園へ戻る道中、聞いた話をまとめます。


「やはり気になるのは、“豹変した生徒”さんでしょうか……」
「んー、気弱な子がいきなり乱暴な言動を取るとは思えないですけど……」
「まあ、一度学園に戻って皆に話してみよう。今までの調査と照らし合わせたら何かわかるかもしれない。それに急がないと、ひと雨来そうだ」


ウタシロさんの言葉に空を見上げると、ポツリ……と頬に冷たいものが当たります。

おかしいです……。
今日の天気予報に雨はなかったのに……!

そうは思っても、降りだした雨が止むことはなく、わたしたちは急いで学園へと戻りました。


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