妖怪主のため、カタカナでの記入をオススメします。
第二章 小さな後輩
名前の変更
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フジヒメが学園初日を終えた夜、ハナヲが妖術で作った部屋に今夜も俺たちは集まっていた。
「いやー、今日の放送はすごかったね」
他愛もない話題にあがったのは昼間のメリィの放送だった。
「屋上にも響いていたから校舎の中はもっとすごかっただろうね」
「そうそう。急にだったから一瞬ビビったぜ」
「俺なんか終わった後も耳の中で残ってたぞ……」
「反響しすぎて途中から何を言ってるのか分からなかったし……」
「みんな驚いていたねぇ。保健室の前の廊下も大騒ぎだったよ」
「や、止めてください……! あ、あのあとイリヤさんがみなさんの記憶を消して下さったから良かったものの……学園中にわたしの声がと思うと……絶えられませんっ……!」
ポンッと居たたまれなさから小さくなったメリィがハナヲの背に隠れる。
前の俺がゲストに呼ばれたあの放送に次いで、今回のことはメリィの中で忘れたい出来事になったのは分かりきったことだ。
……俺自身もあの放送のことは忘れたいと、今も思っている。
メリィに同情しつつ、事を起こした張本人を見れば、イリヤとウタシロの間でうつらうつらと夢への舟を漕いでいた。
「おや? フジヒメ、眠たいのかい?」
「一日中動き回ったからね。それに、妖術を使って力も消耗しているだろうし……」
「眠るなら僕の所においで」
今日はハナヲに連れられ学園内を歩き回っていたフジヒメ。
いくら昼寝をしたとはいえ限界に近いのだろう。
ウタシロに誘われるようにフジヒメが揺れる。
そしてすぐにポンッと破裂音と共にウタシロの膝には淡い紫の毛玉があった。
「……」
「……」
「……」
「わー、フジヒメちゃん可愛いね」
便所幽霊ののん気な声だけが響く。
「……はっ! おいこら、イリヤ! なに手ぇ伸ばしてんだよっ!」
「ザクロ、静かに。起きちゃうよ」
「誰のせいだよっ……!」
全くこの蛇は油断も隙もない野郎だ。
「うっわー……チビの姿ってめっちゃふわふわなんだな……綿菓子みてぇ……」
「寝る子は育つっていうからこのまま寝かせてあげようか」
「それは人間の話だろう……」
「……遊び疲れて寝るとか、まんま人間のガキと一緒じゃねぇか」
「可愛いからいいじゃん、そんなの。ねえねえ、触ってもいいでしょ?」
「おれもおれも」
「いいけど起こすなよ」
アラハギとトネリを皮切りに騒がしくなった中でもフジヒメが起きることはなかった。
しばらくはコイツの話で持ちきりになりそうだと一人、寝息を立てる小さな姿を見て俺は思う。