妖怪主のため、カタカナでの記入をオススメします。
第一章 七霧学園に広がる噂
名前の変更
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廃れた神社から町の様子を見ていました。
そんな時、ある人間たちが来たんです。
度々、登山をするのに山に入ってくる人は知っていましたが、神社まで来る人は居ませんでした。
だから、びっくりしたんですよね。
その人たちは藤に気が付きました。
『ああ、なんて立派な藤だろう』
『学園の子らにもこの藤を見せてやりたい』
なんて言うので、どうするのかなって思ったんです。
何も言わず枝を折られたなら、呪い殺そうかと思いました。
けれど、その人たちはそんなことしなかった。
『私たちの学園に通う子どもたちに立派なこの藤の花を見せたい。申し訳ないが、枝を少し分けてくれないか?』
枝は折られました。
でも、不思議と怒りはなかったんです。
この人たちの所には子どもがいる。
また、人間たちと一緒にいられる。
そう思えたからでしょうね。
それから私は折られた枝に依り代を移しました。
花をつけるまで時間がかかってしまい来れませんでしたが、ここに来てからは賑やかな声が絶えなくて、とても楽しいんです。
*
そう話してくれた彼女は本当に楽しそうだった。
うん、良いことだよね。
こうして人間と妖怪が互いに認め合っているのは。
けれど、それと同時に“あの時”の被害者がすぐ近くに居たこと、助けられなかったことが悔やまれた。
「ハナヲさん?」
「ハナヲ? どうかしたのか?」
メリィくんと鴉くんが心配そうに俺を見ていた。
「何でもないよ。……さて、噂の正体はわかった。そう言うことなら、学園に住む妖怪同士仲良くしなくちゃね。フジヒメちゃん。改めて、ようこそ七霧学園へ」
「よろしくお願いします」
手を差し出すと、彼女は花がほころぶほどの笑顔を見せ、俺の手を取った。
「そんじゃあ、名前を決めっか!」
頭の後ろで手を組んだ鴉くんが悪戯っ子のように笑う。
「名前、ですか?」
「いいね! ボクたちの名前はハナヲさんがつけてくれたし。フジヒメのはボクたちで決めよう!」
「珍しく同じ意見じゃねーの。おれもさんせー!」
「よしっ。じゃあ、まず、フジヒメ。オマエはどんなのがいい?」
「どんなの、とは何がですか?」
「だーかーら、名前だって」
「な、名前ですか? いえ、私は村のみんなが呼んでくれたフジヒメが気に入ってるので……」
「もー、バカ犬のせいで勘違いさせちゃったじゃんか! フジヒメ、名前じゃなくて苗字だよ」
困ってる彼女に助け船を出すのは年長者として当然の事だよね。
「学園に通うのに必要だからね」