妖怪主のため、カタカナでの記入をオススメします。
番外編 先輩と後輩
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「こうして、二人は仲睦まじく暮らしましたとさ……おしまい」
パタン……と本を閉じれば、目の前の可愛い後輩が幸せそうにしていた。
「はー……ステキですね……。愛し合った二人がいつまでも手を繋いで歩いていけるなんて……」
「ふふ、君はこの物語が本当に好きだね。まあ、書いた作者として嬉しい限りだよ」
「ハナヲさんが書く物語はどれも好きです。悲しかったり、ハラハラする時もあったりしますけど……妖怪と人間の戀が少しずつ紡がれてほしいと思います」
切に人間と妖怪の恋を応援してくれる後輩はとてもいい子で可愛い。
「本当に君はいい子だね。先輩として、そう願ってくれているのが嬉しいよ」
「ふふ、やった」
頭を撫でると嬉しそうに彼女の目は細められる。
ふと図書室の壁に掛けられた時計を見ると針はもうすぐ丑三つ時を指そうとしていた。
「あ、そろそろ戻りますね」
「ああ、もうそんな時間か……。気を付けて戻るんだよ。もし変な人がいたら、すぐに逃げるんだよ」
「あのー……私も妖怪ですよ! 逆に驚かして――きゃあぁぁ!」
「だ、大丈夫かい!?」
図書室を出てすぐに悲鳴が上がる。
ほら、言わんこっちゃない。
急いで出てみると、鴉くんがいた。
「だ、大丈夫です……! ヒフミさん、吃驚しましたよ! 驚かさないでください! ――あ、ハナヲさん、失礼します」
どうやら鴉くんがフジヒメちゃんを呼びに来たついでに驚かしたようだ。
ニヤニヤと悪戯に成功した笑みを浮かべる鴉くんと一緒に彼女はそのまま階段の先へと姿を消した。
しばらくして真夜中の学園に来た生徒たちの悲鳴が校内に響いた。
それはもはや絶叫で、後輩たちの力の入れっぷりがわかる。
きっと、一番幼い後輩の八つ当たりに近いやる気が他の後輩たちのやる気を引き出しているのだろう。
「やる気に満ち溢れていていいね。とても賑やかだ」
一人、図書室で本の整理をしながら感心する。
すると、図書室の扉が開かれ、一人の女子生徒が入ってきた。
「やあ、来たね。……え? 今日はやけに騒がしいって? ああ、皆いつも以上にやる気だからね」
その生徒は俺の隣まで来ると本の整理を手伝ってくれる。
「……ねえ、俺は俺が書く物語のような、彼女が願うような未来を夢に見ているんだ」
そう呟く俺にその生徒は寄り添い、「想像してごらん」と得意げに笑う。
「ふふ、それは俺の真似かい? 可愛い!」
愛おしい恋人を腕に抱き想像する。
妖怪も人間も共に幸せになる未来を。
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