妖怪主のため、カタカナでの記入をオススメします。
番外編 先輩と後輩
名前の変更
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真夜中の学園。
おれは子犬の姿でフジヒメと遊んでいた。
「フジヒメ、気持ちいーか? あ、跳ねんなよ? 危ねーからな!」
背中の上のフジヒメが嬉しそうにからだをすり寄せてくる。
本当は人間の姿でする方が楽しいし楽なんだけど、ハナヲから目立つから控えめにと言われた。
ほほえましいけど高校生がすると何か違う、らしい。
ザクロからも恥ずかしいから止めろと注意された。
だからチビの姿で遊んでいる。
別に真夜中なら人も居ねーし大丈夫だと思うんだけどな。
なーんて思っていたら、忘れ物したのか慌てた様子の女子生徒が来たからビビった。
そいつはおれたちに目もくれず校舎へと入っていく。
「……あっぶねー。この姿で喋るとこだったぜ」
頭の上に来たフジヒメも頷いてる。
「ま、大丈夫そうだし、いいか。遊ぼうぜ!」
今度は追いかけっこだ。
逃げるおれをフジヒメが追いかける。
「よっと。お、……どうだ! 掴まんねーだろ?」
小回りのきく子犬の身体。
おれよりもちっこいフジヒメにも負けねー。
動きを止めたフジヒメに得意気になって胸を張っていると、全身で体当たりをされた。
「わあっ!? ……やるな。今度はおれが追いかける番だぜ! ちゃーんと逃げろよ?」
追いかける体勢に入るとフジヒメは急いで逃げていく。
そして植物の陰に消えた小さなからだ。
隠れられたら見つけるのは難しい。
「ヤバッ、わかんねー……においも紛れてるし……」
フジヒメを見失ったおれはうろちょろと辺りを見渡す。
なかなか見つからず、やべーなと思っているとさっきの女子生徒が出てきた。
おれは咄嗟に口を閉じた。
妖怪バレは良くないからな。
通り過ぎるのを待っていると、そいつはおれの方に向かってくる。
おれの前でしゃがんだそいつ。
「??」
首を傾げるおれにそいつは手を伸ばした。
「!」
頭に手がのったと思ったら撫でられる。
撫でられたことに驚いたのに、その優しい手つきにさらに驚く。
しばらくおれを撫でたあと、そいつは門を抜けて行った。
「……」
――ポンッ
妖怪の姿に戻ったおれは呆然と立ち尽くす。
「トネリさん?」
「あ? フジヒメ……」
「ぼーっとされてましたけど大丈夫ですか?」
「ああ、ごめんな。大丈夫、何でもないぜ」
「そうですか? なら、続きしましょう!」
「おう!」
先行くフジヒメの背を追いながら、門の先を見る。
「……」
優しく撫でた手の感触が頭から離れない。
また、会えねーかな。
仄かに甘い匂いを漂わせたあいつに。