妖怪主のため、カタカナでの記入をオススメします。
番外編 先輩と後輩
名前の変更
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「オレはまだやることがあんだよ。……おう、じゃーな!」
放課後、最後のクラスメイトを見送る。
廊下に響くケラケラと楽しそうな声は徐々に遠退いていき、聞こえなくなってしまった。
しん……と静まり返る教室。
自分の席と決められた机の上にはクラスメイトからの甘い貰い物。
やることなんてあるわけがない。
七不思議として縛り付けられているオレはこの学園から出ることができない。
けれど、それも後もう少しかもしれない。
旧校舎取り壊しの噂が出てきている。
最近、七不思議とはいかないまでも怪談として力をつけてきた後輩。
小さな彼女はまだ妖術の使い方も妖力の加減も安定していない。
妖術がオレと似ているために練習をともにしているが上達の前に自分が先に消えてしまうのでないかと思うとやりきれない気持ちが心を巣食う。
「……どうすっかな……」
目を閉じ、仰いで一人吐いた言葉は静かに溶けていった。
と思っていたのに、ガサリと音がする。
「! フジヒメ!?」
音の方を見れば、机の上のお菓子に紛れたフジヒメの姿があった。
「オマエ、何でここに……!?」
「ヒフミさんと遊ぼうかと思って」
チビの姿から人の姿へと変化したフジヒメが花が咲いたように笑う。
「……どうやって入ってきたんだ? チビの姿ならここまで来るの大変だったろ?」
「それはもう大冒険でした! 壁を登って、天井を伝って、ヒフミさんの上まで来たらフワッと落ちてって!」
自慢げに言うフジヒメに呆れる。
「木霊なので落下ダメージはありません! ちなみに外ですると風に拐われてどこまでも行くので危険です!」
「大変なんですよ」と頬を膨らませた後輩に笑っちまった。
いつかこうなると思っていた。
そのいつかが見えてきただけのことだ。
「なに笑ってるんですか?」
「いーや、別に何もねぇよ」
「……」
「何だよ、急に黙って」
「一人で勝手に行かないでくださいね」
「! 行かねぇよ、オマエじゃねーんだから」
吐いた嘘を隠すようにフジヒメの頭を撫でる。
「あ、でも好きな人ができたら、その人のところに行ってもいいですよ?」
「は? 何でだよ?」
「だって、好きな人とはずっと一緒に居たいじゃないですか?」
「オレは妖怪だぜ? そんなヤツいるか?」
「いないんですか? ハナヲさんはいるって。それに妖怪と人間の戀ってステキですよね!」
「……オマエ、だんだんハナヲのヤツに似てきたよな」
そう言えば、フジヒメはまた花のような笑みを浮かべた。