妖怪主のため、カタカナでの記入をオススメします。
第四章 昇降口に響く声・その後
名前の変更
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翌日、学園に一つの怪談が生まれました。
その名は『昇降口に響く声』――
「だいぶ噂になってんなぁ」
それはある女子生徒から始まった噂でした。
誰もいない昇降口に楽しげな歌声が響き渡り、帰る女子生徒に声をかけます。
けれど、ある日。
楽しげな歌声は人間たちを恨む声に姿を変えました。
真夜中の学園。
真っ暗な闇に包まれた昇降口に誰かの啜り泣く声がして、誰かを探している。
「この感じだと、しばらくは大丈夫そうかい?」
「はい! 妖力が安定していますから人間の姿でも大丈夫そうです!」
昇降口に響く声は中庭にある藤の木のお化けだそうで、夜な夜な学園に来た生徒たちを昇降口で驚かせては藤の木に閉じ込めてしまうとか。
「あ、でも……」
「ん? どうしたんだ?」
「一つ疑問……いや不満? があるんです。何で私はお化けになったんですか?」
けれど、怖いだけの怪談じゃないんですよ。
「あー……はは、何でだろうな……? ウタシロ」
「ここで僕に振るのか!?」
「……私、お化けじゃなくて妖怪ですよ?」
「いや、妖怪も広くてお化けと言われることがあって……ザクロ!」
「!? 俺に投げるな! イリヤ――は、ダメだ。便所幽霊!」
「えー、ひどいなぁ」
「んー……ここは俺もパスで。メリィくん」
「はいっ!? わ、わたしですか? そうですね……えーっと、アラハギさん?」
「バカ犬!」
「へ? おれか!? んーと、あ。木霊を知らねーからじゃね?」
「木霊を……知らないんですか?」
皆さん、知っておいてください。
この声の主は木霊。
木に宿る精霊ともいわれてるんです。
依り代にしている木を大切にしてくれれば人畜無害なんですよ。
「確かに、ヒフミさんたちも知らなかったようですけど……そうですか……」
「あ、あまり深く考えんなって! なぁ?」
「あぁ、君は君のままで良いんだからね!」
けれど、傷つける人には容赦しないので気をつけてくださいね。
一応、“妖怪”なので。
「イヤな予感がするのは俺だけか……?」
「狐くんだけじゃないよ」
「あのー、フジヒメさん?」
「分かりましたっ! 私、木霊ですよって皆さんに知ってもらえるようにしてきます!」
「ちょっと待ちなよ、フジヒメ!?」
「あーあ、行っちまったなー」
「変なことしねぇよな、アイツ……」
「それはないと信じたいね」
「ふふ、愛らしいよねぇ」
でも、この妖怪は人間が好きなので、自分で怪談も変えてしまうんです。
人間たちに好きになってもらうために。