妖怪主のため、カタカナでの記入をオススメします。
第四章 昇降口に響く声・その後
名前の変更
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ウタシロさんの悪夢にうなされる生徒さんたちを起こす。
「あのー、起きてくださーい」
悪夢から解放された彼らの顔は未だ青ざめていました。
人間の姿に変化している私に、藤の木がどうとか、噂がどうとかを必死に言っているのでハナヲさんの作戦はばっちりのようです。
「……大丈夫ですよ」
優しく言葉を紡げば、ざわついていた彼らがしん……と静かになりました。
これはハナヲさんの考えた作戦の中にない。
「皆さんはきちんとゴミを持ち帰って、藤の木を大切にしてくれますから」
けれどあの子を悲しませないために最後の仕上げとして、私は勝手をする。
「でも、もし大切にしてもらえなかったら……次は無いです。藤の木に完全に閉じ込めます」
にこりと笑うとますます青ざめていく生徒さんたち。
「だから……」
一人が走り出したのをきっかけに全員が昇降口から外へ飛び出していきます。
――パチン――
――気を付けて帰ってくださいね。
ゴミを片手に走り去る彼らの一人と目があったと同時に私の姿は消えました。
*
「フジヒメ!」
ウタシロさんの手が私を拾い上げます。
消えたというのは嘘で私は小さくなりました。
人間じゃないと思わせる方がいいと思ったからです。
本当は、ヒフミさんの隠れ蓑のようにバシッと決められたらカッコよかったのでしょうけど……残念です。
けれど生徒さんたちには、私は消えたように見えたと思うので万事オッケーです。
「どうでしたか?」
小さな姿から変化して先輩方へ感想を求める。
最後のは私が勝手に作ったもの。
反応が怖くてウタシロさんの着物の袖を無意識に掴んだ手を、ウタシロさんは外し優しく握り返してくれました。
「すげぇ良かったぜ!」
「上出来だよ。よく頑張ったね」
「なかなか才能があるよねぇ」
「ああ。最初のビビりまくってたのが嘘のようだな」
「アイツらみーんな、慌てて逃げていっちゃった」
「最後のやつなんて、お化けだー! って叫んでたぜ。やったな!」
「わたしもドキドキしました……! カッコよかったですよ、フジヒメさん」
「脚本、監督の俺も最後はビックリしちゃった! ゴミもきちんと持って帰ってくれてるみたいだし、百点満点の花丸をあげちゃうね!」
笑顔でくださる褒め言葉が嬉しくて、私もつられて頬が緩みます。
「これはまた噂になっちゃうかもね。もしかしたら七不思議に入っちゃうかもよ」
「え?」
ハナヲさんの何気ない言葉は翌日当たりました。