妖怪主のため、カタカナでの記入をオススメします。
第三章 昇降口に響く声・出現
名前の変更
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深く呼吸を整えて、ハナヲさんの作戦を確認する。
まずはイリヤさんが妖術で雨雲を集めて雨を降らせる。
「雨雲よ……!」
――パチン――
藤の枝葉では凌ぐことのできない雨に、生徒さんたちが慌てて校舎へと入ってきます。
最後の一人が駆け込んできたその時、ヒフミさんの起こした風で昇降口の扉が大きな音を立てて閉まりました。
驚く生徒さんたち。
「よーし、完璧なタイミングだったな」
小さくなったハナヲさんとメリィくんが素早く鍵をかけてくれたので生徒さんたちは簡単には出れません。
気が動転しているので鍵が掛かっていることにも気づいてないようです。
ザクロさんの鬼火が灯ったら、私の出番。
ああ、緊張します……。
「大丈夫、フジヒメならできるよ! 人間たちがもうゴミを捨てられないように怖がらせちゃえ!」
「そだぜ! おまえなら絶対できっからな! おれたちもいるんだし心配すんなって!」
アラハギさんとトネリさんが背中を押してくれます。
ザクロさんも私を信じて待っていてくれています。
「もう大丈夫です」
「フジヒメ、いくぞ……」
――パチン――
青い鬼火が暗い昇降口を不気味に照らしていく。
そして……――
――だぁれ……だぁれ……
最初はか細く、悲しく。
――だぁれ……だぁれ……
徐々に大きく響かせて。
――だぁれ、だぁれ
見つけた、私の藤を傷つける人たちを。
逃がさない、もうやめて!
倉庫から拝借した縄がアラハギさんの妖術で生徒さんたちに迫っていく。
――だぁれ! だぁれ!
メリィくんが微弱な電流を流して体の自由を奪い、
――パチン――
トネリさんの妖術による闇が生徒さんを恐怖へと容赦なく連れていく。
――許さないっ!!
――パチン――
そう叫ぶと同時にウタシロさんが生徒さんたちを夢へと落とします。
藤の木に閉じ込められる悪夢へと。
全員が悪夢に囚われたところで作戦は終了。
作戦が無事に終わったことに安堵の息を吐きます。
やった……やりきった……!
感動に近い喜びを感じていると頭に軽い衝撃が来ました。
そして少し乱暴に撫でられ、顔を上げます。
「すげえじゃん、フジヒメ! よくやったな!」
「初めてにしては上出来じゃないかな」
「名演技だったねぇ」
「結構、様になってたぜ」
「妖術の使い方も上手だったし!」
「最後の、許さないっ! って台詞もちゃーんと聞こえたぜ!」
「とてもカッコよかったです」
「お兄さん、感動しちゃった!」
先輩たちの笑みと言葉と頭を撫でる手に、やっと緊張の糸が解けたのがわかりました。