妖怪主のため、カタカナでの記入をオススメします。
第三章 昇降口に響く声・出現
名前の変更
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遊んでいるうちに時間は丑三つ時になっていた。
妖怪たちのゴールデンタイムだが、人間の気配はない。
今日はこのまま誰も来ないのかと思っていると、校舎の外が賑やかなことに気がついた。
窓から見上げた空はこの時期らしい朧月夜に月の輪が妖しげに闇を照らし、その下には中庭の藤棚が見えた。
「オレのクラスの女子だ。さっそく噂に飛びついて来たのか?」
「何か喋りながら食ってんなー」
「お菓子のようですね。藤が見頃なのでお花見でしょうか?」
「あ、写真も撮ってるよ」
「楽しそうだねぇ」
「はい。あの子がとても張り切っていたので、喜んでもらえて良かったです!」
「あの子っていうのは……」
「依り代の藤です」
「へー……藤にも意志があるんだな」
「木霊なので! 木の意思を読み取るくらい朝飯前です!」
オレたちが藤棚の下のクラスメイトを見ながら話している横で、ウタシロとザクロが目を光らせていた。
「まあ何にせよ、ゴミは持ち帰ってほしいね……」
「ああ、全くだ。俺たちが毎日掃除にゴミ拾いをしてんだ。そのままで帰るようなら、お狐さまが赦さねぇぞ……!」
生徒会は連休が明けてからも藤の開花につれてゴミ拾いと掃除――あとアラハギとの触れ合い――に力を入れていた。
生徒会であるウタシロとザクロの二人も例に漏れずその活動に巻き込まれていた。
アラハギは、とばっちりだ。
このままゴミを捨てられたら明日も掃除とゴミ拾い。
フジヒメのためとはいえ、そろそろうんざりしてきた二人の目はマジだった。
「……あ、帰るみてーだぜ」
「ゴミは……きちんと片付けていますね」
「あの子たちではなさそうだねぇ」
「えらいね、ちゃーんとカバンいれて持ち帰るなんて」
窓越しに帰り支度をするクラスメイトを眺めていると、フジヒメが妖術を使うのがわかった。
「きゃあ」と声をあげたクラスメイト。
視線の先には満開に咲いた藤の花があった。
淡い月明かりに照らされた藤棚は、幻想的で思わず息を呑む。
「ふふ、お礼です……」
そう言って見せたフジヒメの笑顔は、咲き誇る藤のように優しいものだった。
*
一夜にして満開になった藤の花は瞬く間に学園の注目の的となった。
学園の生徒や教師だけでなく、同じ敷地内にある高い塀を挟んだ隣の大学の学生、教授までもが藤を見に来た。
朝から賑わう藤棚も放課後は人が疎らになり、夕方には一人二人となっていた。
そして、夜――
どんよりとした厚い雲が空を覆っている中、数人の生徒たちが藤棚の下に集まっていた。